健康 食事

食後高血糖は動脈硬化のリスク。知っておきたい食事の影響

2020-05-24

はじめまして、こんにちは。この記事に興味を持ってくださりありがとうございます。

糖尿病や肥満が動脈硬化など心血管疾患のリスクになるという話を、別の記事でまとめました。

きょうは食後の高血糖というキーワードにとくに着目して記事をまとめたいと思いますが、糖尿病には様々な合併症が知られているのに、どうして心疾患などのような血管の炎症に着目するのでしょうか?

一つは心疾患が原因で死亡する人数が圧倒的に大きいことにあります。

これは公衆衛生の視点から考えるととても大事ですね。要するに優先順位が高いのです。

ですが、同時にもう一つとても大事なポイントがあります。

それは、糖尿病の3大合併症と言われる網膜症、腎症、神経障害などは重度の糖尿病患者でおこる合併症であるのと比べて、血管の炎症は軽症から中程度の糖尿病患者でも進行するんです。

他の合併症と比べると食事をはじめとする日常の生活で比較的予防できるということです。

つまり、予防できるターゲットもとても広いということです。

今回の記事では軽症でも炎症が起こること、そしてだからこそ食事が大切だということをまとめたいと思います。

大血管障害は比較的軽症の高血糖で起こる

タブレットを使う人のイラスト(男性医師)

早速ですが、今回も日本で行われた糖尿病の研究を紹介したいと思います。

今回紹介したいのは少し古い研究なのですが、山形県舟形町で行われた研究です。20年以上前の研究なのでちょっと古いですが、有名な研究です。

この研究では、常に血糖値がやや高めの人(IFG)食後2時間だけやや高めの人(IGT)、そして常に血糖値が高いまたは食後2時間が高い人(糖尿病)と血糖値の高い人を3つのグループに分けました。

まあ、つまり完全に重度糖尿病じゃない人たちの評価をしたんだけど、その人たちは、食後の血糖上昇をおさえるのが大事なのか、定常状態の値が大事なのか(研究では空腹時血糖値を用いました)を比べたって言うことです。

IGT
(食後が高血糖)
空腹時血糖:~140 mg/dL かつ
食後2時間:140~200 mg/dL
IFG
(定常状態が高血糖)
空腹時血糖:110~126 mg/dL
食後2時間: 指定なし

普通に考えたら定常状態で高いことのほうがヤバいんじゃね?って思うと思うのですが、この結果が全くの予想外!!

かなり衝撃的な結果なんですが、それぞれの心疾患による死亡のリスクをCox比例ハザードモデルという方法で解析した結果が、下記の通りです。

グループハザード比
糖尿病2.3~2.5
IGT(食後が高血糖)2.2
IFG(定常状態が高血糖)1.1

ちょっとびっくりしませんか?軽度の糖尿病って言うと、それだけでまるっとまとめてしまうと思うんですが、この結果だけ見ると、食後の高血糖が圧倒的に大事なんじゃん!となりますよね。

この結果を見ていると、こんなに差があるの?というくらい差が出ているので、間違いなく食後高血糖というのが炎症を起こし、心疾患につながっているんでしょうね。

メカニズムについてですが、これは一時的だったとしても、血糖値が最も高いピークのときに炎症を引き起こすということなんでしょうね。

そして、食後2時間というと、健康な人であればある程度血糖値が定常状態に戻っていると思うのですが、食後2時間に高いということは、食後の血糖値が高い状態が比較的長く続いている可能性があります。

まあ、ちょっとこの研究の問題点として上がるのは、参加者は14000人以上いて、かなり大きな研究ではあるのですが、食後の血糖値が高い人、定常状態で血糖値が高い人で死亡した人がそれぞれ、約2000人中11名、約800名中3名と少ないので、定常状態で血糖値が高い人(IFG)のデータの精度については少し気になるという点です。

でもこの研究が言えることは、たとえ糖尿病と診断されていなくても、少なくとも食後の高血糖は気をつけようということです。

軽症でも起こるからこそ食事を気をつけることが大切

食後の高血糖、しかも重症の糖尿病を除いた場合でも心疾患のリスクを2.2倍高めるというのは恐ろしいですね。

さて、この場合に第一選択肢としてどのような治療が必要になるかという話なのですが、もちろん、ちゃんと医師に診断してもらい、適切な治療方針を立てることが大切ですが、

同時に意識しないといけない大切なポイントは、軽症であれば、血糖コントロールが比較的良好な場合もあるので、食事療法がとても大事ということです。

そして、まだ糖尿病ではないという人であれば、なおさら食事を気をつけることで、食後の高血糖を予防することができますので、食事が大事ではないかと思います。

まとめ

食事をしている女の子のイラスト

ここまで読んでくださりありがとうございました。この研究結果はどうでしたか?

この研究は舟形研究といって、日本で最も有名な糖尿病の研究の一つです。

「食後の血糖値をおさえる」って言う言葉はよく聞くフレーズだと思います。

でもそこには、

食後の血糖値が高いと、心疾患で亡くなるリスクが2倍以上高いんだぞ!

という恐ろしいメッセージが隠されていることをまず覚えてほしいです。

そして、そうは言っても、糖尿病と診断されていないのであれば、恐れすぎるのではなく、適切な食生活を送ることを意識することが大事です。

もちろん、糖尿病患者の方は、医師の指導に従って、適切な治療を行うことが大切ですので、この記事はあくまでも参考にしてください。

この記事がすこしでも皆様のお役に立てたらうれしいです。それでは。

参考文献

Tominaga M, Eguchi H, Manaka H, Igarashi K, Kato T, Sekikawa A. Impaired glucose tolerance is a risk factor for cardiovascular disease, but not impaired fasting glucose. The Funagata Diabetes Study. Diabetes Care 1999;22:920-924.

Kim NH, Pavkov ME, Looker HC, Nelson RG, Bennett PH, Hanson RL, Curtis JM, Sievers ML, Knowler WC. Plasma glucose regulation and mortality in pima Indians. Diabetes Care 2008;31:488-492.

  • この記事を書いた人

Pon

食品会社勤務の元企業研究員(PhD)。食の機能性研究、腸内細菌の研究をメインにしていました。興味関心は公衆衛生、疫学、食品の機能性。好きな食べ物はカレーと杏仁豆腐。コテンラジオ、キングダムが好きです。統計の専門家に憧れます。興味のある研究について、Xやブログで発信しています。

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