健康,  腸内環境,  食事

オーツ麦の食物繊維が脳腸相関によって認知症を予防します!

はじめに

こんにちは。最近の記事では脳腸相関について紹介をしています。脳腸相関というのは言葉のまんまなんですが、脳と腸がつながっていて、お互いに影響を与えているんだよという、腸内細菌の研究の中でも新しい分野になります。

新しい分野なので、まだまだマウスの研究が中心ですし、メカニズムの研究が多く、その解決方法について、明確な答えもありませんでした。ところが今回紹介する論文は、オーツ麦や大麦に含まれる水溶性食物繊維のβ-グルカンという成分が、マウスの腸内環境を改善して、認知症に予防的に働くことを証明しました。

先週発表された論文で、まさに最新の情報です!これは、脳腸相関の分野にとっても、もしかしたら何か開けてくるかもしれないと感じる、おもしろい論文だったので、紹介をさせていただきます。

この記事のポイント

  • β-グルカンを摂取したマウスは認知機能が衰えないことがわかりました。
  • そのメカニズムには腸内環境が関わっていた可能性が高いです。
【Pon(食品会社研究員/社会人大学院生/ブロガー)】
この記事を書いているわたしは、企業研究員として食や健康に関する研究をしています。博士課程で病気の原因を研究する疫学の研究も行っています。腸内環境については5年間くらい研究を続けています。
Twitterはこちら。詳しいプロフィールはこちら

脳腸相関は大事だけど、食事や普段の生活はどうすればいいの?

先日の記事では、腸内細菌がいないマウス(無菌マウス)は、通常のマウスと比べて落ち着きがなく、学習障害などがあるかもしれないという研究を紹介しました。

この記事からも、脳にとって、腸内環境がとても大事だということが分かると思います。しかし、この後、腸内環境が回復することで、脳機能が回復してくるのでしょうか?

また、腸内環境を改善するような食事をマウスに与えた時に、脳機能が改善するのでしょうか?今回の研究では、オーツ麦や大麦などに含まれているβ-グルカンという水溶性の食物繊維による認知症予防効果について紹介をしたいと思います。

マウスの試験で食物繊維が脳腸相関に働くことを発見!

さっそく研究を紹介したいと思いますが、β-グルカンというのは聞いたことはありますか? βーグルカンは近年、注目されている食品素材の一つ、大麦に含まれている水溶性食物繊維です。ちなみにもち麦やスーパー大麦なども大麦です。腸内環境を改善する食材として、結構頻繁に出てきます。

このβーグルカンのサプリメントをエサに入れて、脳腸相関を評価しましょうと言うのが今回紹介する研究になるんですが、今回の研究では、マウスにゲージの中に隠れた物体を探させる実験をします。

事前にマウスには物体を隠した場所を記憶させてから、どのように物体を探すのかを観察するという実験です。

ゲージの中の様子は上の図の右上(B)のような感じです。そして、実際にマウスが動いた軌跡を書いたのが、右下(C)のイラストになります。

コントロールは通常のマウスですが、黄色の物体の周りを集中的に探していることが分かります。一方で、β-グルカンを与えなかったマウス(中央:食物繊維なし)は通常のマウスに比べるとあまり集中して物体を探しているようには見えません。マウスの動き自体を見るとβ-グルカンを与えたマウス(右:食物繊維あり)も同じように、コントロールほど集中して探していないように感じます。

しかし、実際に探していた時間をグラフにすると、なんと、β-グルカンを与えなかったマウスだけ、物体の周りを探している時間が短いんです。

β-グルカンは大麦、オーツ麦などの穀物に入っています

今回の試験で使われたのはβ-グルカンというオーツ麦や大麦に含まれる水溶性の食物繊維です。サプリメントもありますが、値段はかなり高いです。

ですが、オートミール(オーツ麦)や麦ごはん(大麦)などは、比較的手軽に購入することができるということもあるので、気になる方はサプリメントよりも、一般食品で購入するのがオススメです。

今回の研究結果は、あくまでも動物実験の結果ですので、この結果をもとに、認知症に効くかもしれないというのは先走りすぎだと思いますが、穀物由来の食物繊維自体がエビデンスが豊富ですので、認知症に関わらず、摂取することがとても大事だと思います。

わたしは、オートミールはあまり食べませんが、麦ごはんは、ほとんど毎日食べています。また、ミューズリーと言うオーツ麦やドライフルーツを混ぜたものをヨーグルトに混ぜて、食べることがあります。コーンフレークやグラノーラなども良いのですが、全粒穀物がしっかりとれる点では、ミューズリーはとてもおすすめです。

まとめ

ここまで読んで下さりありがとうございました。脳腸相関と食物繊維の研究はどうでしたか?今回の研究ではヒトでの効果は示されていませんが、このように食から、腸内環境を通して脳にアプローチをした研究があるというのは興味深いですね。

論文の中では腸内細菌のデータも結構詳細に発表されていますが、今回は省略しちゃいました。ただ、腸内細菌のデータやメカニズムとして、免疫や脳の炎症などを詳細に調べていて、とても興味深い内容になっています。下記の記事でまとめておりますので、興味があったら読んでみてください。

それではまた。

参考文献

Shi, Hongli et al. “β-glucan attenuates cognitive impairment via the gut-brain axis in diet-induced obese mice.” Microbiome vol. 8,1 143. 2 Oct. 2020, doi:10.1186/s40168-020-00920-y LINK

食品会社勤務の企業研究員。公衆衛生の講座に在籍する、社会人博士課程の大学院生でもあります。食の機能性研究、腸内細菌の研究に軸を置いています。興味関心は公衆衛生、疫学。統計の専門家に憧れます。興味のある研究について、Twitterやブログで発信しています。