健康,  腸内環境

脳腸相関~お腹の調子とストレスはつながっている

こんにちは。この記事に興味を持ってくださり、ありがとうございます。今日の記事では、わたしたちの脳と腸はつながっているんだよ~という話をしたいと思います。

脳腸相関、英語では、Gut-Brain axisとかGut-Brain interactionなどと言われています。

と言っても、内容が難しくて、一つの記事で上手に説明するのは難しそうなので、何回かに記事を分けて書いていきたいと思います。

この記事では、腸が第2の脳と呼ばれているということを書きたいと思います。

この記事のポイント

  • ストレスを感じるとお腹の調子が悪くなるなど、脳と腸はつながっています。
  • 脳から腸には無数の神経がつながっていて、腸は第2の脳と呼ばれます。
  • 脳⇒腸へは神経が、一方で腸⇒脳には血管を通して栄養が送られます。

この記事を書いているわたしは、企業研究員として食や健康に関する研究をしています。博士課程で病気の原因を研究する疫学の研究も行っています。腸内環境については5年間くらい研究を続けています。

この記事は下記の書籍(参考文献3)を参考に、イラストや具体例を加えた内容となっています。

脳は微生物によって支配されることがあります

まず初めに、微生物が感染し、わたしたちの脳に影響を与えるということは、わりと古くから知られていることです。

たとえば梅毒の原因菌はヒトに感染して、せき髄や脳に侵入し、うつ、気分障害、精神病などを起こすことがあります。

もっとよく知られている例では、狂犬病はウィルスが神経症状を起こし、感染した犬が、他の動物などに噛みつくことでウィルスをばらまかせる、という恐ろしい生存戦略をとっています。ちなみに狂犬病は致死率が100%近いという恐ろしい病気ですね。

このように細菌やウィルスの中には生存戦略として、わたしたちの行動に影響を与えるものがあるのです。では、腸内細菌はこのように、わたしたちの行動に影響を与える可能性があるのでしょうか?つぎに紹介をしていきたいと思います。

わたしたちも脳と心がつながっていることを経験的に知っています

みなさまは、緊張したり、心配事があると下痢気味になったり、便秘気味になることはありますか?わたしは出張や旅行などで生活のリズムが変わったりすると、便が出にくくなったりします。

一応、3日以上出ない場合に便秘と定義すると、便秘とまでは行かないのですが、旅行中にお腹の調子が悪いなーと感じたりすることはよくあります。

アンケートなどの情報を見ると、実に女性の20%、男性ではなんと30%もの方がストレスや緊張などで便秘になるという結果もあり、わたしたちは精神的状況と腸がつながっていることを経験的に体感しているのです(参考資料1)。

このように、炎症など、直接的な原因が特別にない場合でも、ストレスなどによって腹部の不快感を感じる病気を過敏性腸症候群(IBS)と言います。下痢型、便秘型、混合型とその症状は人によって異なりますが、およそ10人に1人はいると言われており、特に若年の男性に多いようです(参考資料2)。

ストレスが原因の腸の病気というとまさに現代病の一つと言えますね。

このメカニズムには脳腸相関が関わっています

このように、お腹の調子とストレスの関係のように、脳と腸内環境がつながっている関係性を脳腸相関と呼びます。

まだまだ研究途上の分野だと思いますし、わたしも腸内細菌の研究をしていると言っても脳腸相関などは素人ですが、よく知られていることとしては、下記のポイントがあります。

  • 脳から腸にはせき髄などを通って無数の神経系(迷走神経)で強いつながりがあります。(これが、腸が第二の脳と言われる理由です!)
  • 腸内細菌は短鎖脂肪酸、GABA、セロトニンといった神経伝達物質をつくり、血液をとおして脳に送られ、脳の栄養となります。

簡単にイラストにまとめると上の図のようになるというわけです。GABAやセロトニンなどはなんとなく知っている言葉かなと思いますが、GABAはリラックス、セロトニンは幸福感などのイメージで知られている神経伝達物質です。

ちなみにセロトニンはしあわせホルモンと呼ばれていますが、正確にはホルモンではないのですが、イメージしやすいホルモンという言葉で表現されています。

このような神経伝達物質がどのくらい作られると、わたしたちのメンタルに影響を与えるのかなどは、あまり良く分かりませんが、この脳と腸の関係は非常に大事で、メンタルにとって腸内環境が大事だよね~という話は勿論ですが、それ以外にもたくさん、大事な働きがあるのではないかと考えられています。

たとえば、消化の速度を適正に保ったり、腸管免疫のバランスを整えたり、腸内に潜む100兆個もの腸内細菌の働きをコントロールしているのかもしれません。

これからたくさん研究がすすめられそうな、面白い分野だな―と思いますが、まだまだこれからですね。

まとめ

ここまで読んで下さりありがとうございました。脳腸相関、いかがでしたか?正直、わたしも勉強中で、記事を書くには全然理解が足りていないのですが、分野としてはすごく興味深いな~と思っています。

脳腸相関の例としてよく出てくるのは、今回紹介したストレスの他には、子供の落ち着きなども例として出てくることがあります。こんなことまで腸内環境で説明されるのか~と思うと不思議な感じもしますね。

最後に、過敏性腸症候群はほんとうに多くの方が悩まされている病気の一つです。もしも該当するな~という方は、病院などで相談をされるとよいと思います。

と言うのも、腸内環境などを改善する食事として、よく食物繊維があげられますが、過敏性腸症候群の方の場合には、逆に食物繊維は腸に負担が大きかったりするということもあり、避けたりすることがあります。ネットなどの情報を鵜呑みにするのではなく、ご自身の症状にあった適切な治療がとても大切だと思います。

排便は生活の質に大きく影響しますので、どうか無理なさらずにと思います。

次の記事も続けて脳腸相関をとりあつかいたいと思います。よかったらまた読んで下さい。それでは。

参考資料

  1. 【プレスリリース】全国の一般男女1,000人に聞いた「おなかケア」に関するアンケート調査を実施(ビオフェルミン製薬、2019年) LINK
  2. 田辺三菱製薬|過敏性腸症候群 再発症状改善薬 セレキノンS 数字でなっとく!過敏性腸症候群(IBS) LINK
  3. 腸科学 健康な人生を支える細菌の育て方 (早川書房)

食品会社勤務の企業研究員。公衆衛生の講座に在籍する、社会人博士課程の大学院生でもあります。食の機能性研究、腸内細菌の研究に軸を置いています。興味関心は公衆衛生、疫学。統計の専門家に憧れます。興味のある研究について、Twitterやブログで発信しています。