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近年増加しているゲーム依存症の恐ろしさと最新エビデンス

こんにちは。ゲーム依存症という言葉をご存じですか?スマホを中心にさまざまなゲーム機器がにぎわい、オンラインゲームも完全に市民権を得ています。ゲーム市場は昔から日本の強みでもあるため、ますます身近に感じますね。

ですが、近年のゲームは、どんどん中毒性も上がり、通常の生活に支障を来たしたり、極端な課金で生活が狂ってしまう人も多くいらっしゃいます。

このような病的な状態をゲーム依存症と呼び、社会的問題として、近年注目され始めています。しかし、ゲーム依存症は、あたらしい中毒症であるため、そこまで理解がされていなかったり、どんどん変化していく業界の動きにエビデンスがついて行かないということもあり、エビデンスも十分ではありません。

この記事では、ゲーム依存症について、学会(2022年日本公衆衛生学会総会)で聞いた話を中心に紹介したいと思います。

※ 本記事では学会で聞いた内容が含まれていますが、自身で1次情報まで確認できなかった内容も含むことを了承の上お読みください。

この記事のポイント

  • ICD-11にゲーム依存症の追加が決まっています
  • シューティングゲーム、ガチャなどに特に依存性が高いです
  • ゲーム依存症は若年男性に多く、過度な課金などのトラブルが増えています

著者紹介
Pon。 ブロガー、PhD、食品会社勤務。主に腸内細菌の研究をしています。疫学、食品の機能性、統計、英語学習などに興味があります。

ICD-11に新たに追加されたゲーム依存症

はじめに、ICD-11はご存じでしょうか?ICDはWHO(世界保健機構)が定める病気の分類方法で11というのは第11版という意味です。つまりICDは世界共通で使用されている病気の分類方法で、ICD-11は今年(2022年)の1月に正式に発効したものです [1]。

この中で、新しく追加された病気にゲーム依存症があります [2]。学会で聞いた話では、当初はインターネット依存症を加えたかったようですが、さまざまな理由から断念し、インターネット依存症の中の1つ、”ゲーム依存症”を先行で疾病に登録したとのことでした。

インターネット依存症をあきらめたことに、どのような経緯があったのかは分かりませんが、ベストセラーとなった書籍「スマホ脳」の内容から考えると、インターネット依存は不安やうつなど多様な精神疾患を引き起こし、ゲーム依存とは別の性質を持っているようにも感じました [3]。

ゲーム障害とはどのような状態なのか?

ゲームに没頭する人のイラスト

ゲーム依存症の定義

ではゲーム依存症とはどのような病気なのでしょうか?WHOが発表したゲーム依存症(ゲーム障害)の定義は「持続的または反復的にゲームを行う行動パターンで、過度のゲームをコントロールできない状態が、少なくとも12カ月間以上続くもの」とされています [4]。

具体的には、ゲームのやりすぎが家族や学校生活、仕事などに深刻な影響を与えている状況を指し、うつ病、薬物やアルコール依存、ADHD、学力低下、問題行動などで、他の精神疾患と共通の特徴を持ちます。

ゲーム依存症が脳にもたらす影響

ゲーム依存症患者の脳は、ゲームを行う際にギャンブル依存症の患者と同様に、ドーパミンなどの脳の報酬系に関わる快楽物質のなどが見られるそうです。つまり、ゲーム依存症というのは、依存している内容が異なるだけで、状態としてはギャンブル依存症などと同じだと考えるのが良いと思います。

また、ゲーム依存症で医療機関に相談に来る患者の多くは、過度の課金によるお金の使い込みで、大きな問題になってから、やっと医療機関に相談に来ることが多いそうです。

本当はもう少し早く、医療機関に相談できれば良いと思いますが、まだまだ疾病としても知られていないことから、対応できる医療機関も少ないし、依存症患者側のリテラシーもないと思いますので、致し方ないのかなと思います。

どんなゲームがとくに問題なのか

それでは、どんな種類のゲームに特に注意したらよいのでしょうか?

一番危険なのはシューティング系ゲームとのことでした。これは、命中した時の爽快感などが報酬系を強く刺激するからだろうなと思いました。

また、ガチャといって、ゲームを有利に進めるためのアイテムやキャラクターなどを入手するくじが多くのゲームにありますが、ガチャにはギャンブルの要素がそのまま含まれている点もゲーム依存症とギャンブル依存症が近い理由の一つかと思います。

さらには、近年、インターネット依存関連で急速に患者が増加しているのがオンラインカジノのようです。法律的にも、オンラインカジノは海外にサーバーを置いているので、取り締まることができないようです。

特にゲーム依存になりやすい人の特徴

最後にゲーム依存になりやすい人について紹介します。

もちろん、ゲーム依存の一番の原因はゲームの時間や頻度です。そして、これに加えて、男性の方がリスクが高く、若く、教育のレベルが低い人ほどゲーム依存症になるリスクは高いようです [4]。

教育のレベルなどはゲーム依存の結果、勉強時間が取れず、教育のレベルが下がってしまうこともあるため、因果の逆転も考えられますが、このような特徴を考えると、やはり小中学生の子供を持つ親は子供とゲーム依存について、ちゃんと教育を受けることがとても大切だと感じました。

さいごに

ゲームで課金しているイラスト

ここまで読んでくださりありがとうございます。私は学会で今回の話を伺い、ゲーム依存症の恐ろしさをすごく感じました。

まだエビデンスとしては足りない点もあるのかもしれませんが、ゲーム依存症はこれからますます増え続けるだろうなということや、その影響力の大きさを考え、記事としてまとめました。

ゲームをやりたがる子供にやらせてあげないのは、かわいそうと感じる方も多いと思います。ですが、スマホ中毒やゲーム依存症になり、生活が、そして人生が破綻してしまうことのほうが、比べものにならないほど、ずっとかわいそうです。

そうならないための第一歩は、ゲーム依存症の恐ろしさをよく理解し、家族で共有することだと思います。結局のところ、健康リテラシーを高めることが一番大切なんだろうなと思います。

この記事が少しでも参考になり、ゲームやスマホとの付き合い方に役立てていただけたら幸いです。

参考

  1. 厚生労働省 政策統括官付参事官付 国際分類情報管理室、ICD-11の国内の公的統計への適用について(公開日2022/6/1、閲覧日2022/10/15)https://www.mhlw.go.jp/content/10701000/000945063.pdf
  2. LITALICO仕事ナビ、ICD-11(国際疾病分類第11版)とは?主な内容、改訂や導入の時期、医療機関・行政機関での使われ方、診断後に受けられる治療・支援を解説します(閲覧2022/10/14) https://snabi.jp/article/176
  3. アンデシュ・ハンセン、スマホ脳(新潮新書)
  4. Esposito, M. R., Serra, N., Guillari, A., Simeone, S., Sarracino, F., Continisio, G. I., & Rea, T. (2020). An investigation into Video Game Addiction in Pre-Adolescents and Adolescents: A Cross-Sectional Study. Medicina (Kaunas, Lithuania), 56(5), 221. https://doi.org/10.3390/medicina56050221

  • この記事を書いた人

Pon

食品会社勤務の企業研究員。公衆衛生の講座に在籍する、社会人博士課程の大学院生でもあります。食の機能性研究、腸内細菌の研究に軸を置いています。興味関心は公衆衛生、疫学。統計の専門家に憧れます。興味のある研究について、Twitterやブログで発信しています。

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