健康,  腸内環境

泣き止まない赤ちゃんの疳の虫も実は腸内細菌が関わっている?

こんにちは。この記事に興味を持ってくださりありがとうございます。最近、腸内環境と脳の関係(脳腸相関と言います)について記事を書いていたのですが、本日もそんな記事の一つを紹介したいと思います。

今回の記事は泣き止まない赤ちゃんについてです。ず~っと泣き止まない赤ちゃんってときどきいて、「疳(かん)の虫」などと呼ばれます。

このかんの虫ですが、単純に機嫌が悪い赤ちゃんという訳ではないのかもしれません、ある研究ではかんの虫のある赤ちゃんの腸内環境には他の赤ちゃんと比べて多様性が低いなどの違いがあることが報告されていたりします。

つまり、何かしらの不調を赤ちゃんが伝えようとしているのかもしれません。この記事では、かんの虫のある赤ちゃんの腸内細菌を調べた研究を紹介したいと思います。この記事は腸科学という書籍をベースに、論文を読んで書いた記事になります。

この記事を書いているわたしは、食品企業で食品の機能性研究などを行っている企業研究者です。腸内細菌の研究は5年くらい続けています。また、博士課程の大学院生として大学で病気の原因を研究する疫学を学んでいます。

昔からいた新生児で泣き止まない子供

「かんの虫」という言葉は聞いたことが有りますか?Wikipediaにものっている言葉ですが、

乳児の異常行動を指していう俗称。
特に夜泣き、かんしゃく、ひきつけなどを指す。
―wikipediaより―

と記されています。昔の日本人は乳児の異常行動がかんの虫という虫によって起こっていると考えていて、虫をとりのぞくために、おまじないなどの魔術による治療などが行われていたようです。

もちろん、それだけでなく、ヘビトンボの幼虫の乾燥粉末のような漢方(孫太郎虫【まごたろうむし】)が良く効くとも言われ、治療の対象とも考えられていたようです。

このように場合によっては治療の対象と考えられていたということは、かんの虫には原因があって、その結果として起こっている現象なのかもしれません。そして、かんの虫に対する様々な民間療法のなかには、乳幼児のお腹の調子が悪いのではないかという考えもあったため、かんの虫について、腸内細菌からアプローチをした研究が行われました。

それでは次に研究を紹介したいと思います。

泣き止まない理由の一部が腸内細菌で説明された

早速、論文(参考文献1)の紹介をしたいと思います。この研究では出産後105日まで乳幼児の腸内細菌を測定した研究です。

上の図の青色の印はかんの虫がない(コントロールの)赤ちゃん、赤色の印はかんの虫がある赤ちゃんの腸内細菌の多様性指数を縦軸に、横軸に出産後の日数をのせていますが、全体的に明確な差が有る訳ではないですが、腸内細菌の多様性指数がかんの虫がある赤ちゃんでは低いのが分かると思います。

統計解析をすると、7日目と14日目に差があるようです。つまり出産直後に腸内細菌に多様性で差がでるようです

かんの虫がある子は多様性が低く、帝王切開の子供と似ていた

さて、この結果ですが、驚くべきことに帝王切開の赤ちゃんの腸内細菌と似た傾向があるようです。細かいデータと言うよりは、多様性が低いというざっくりとしたポイントが似ているのかもしれませんが、以前に帝王切開の赤ちゃんの腸内細菌については記事にしたことが有ります。

どんな特徴かというと、帝王切開の赤ちゃんは出産時に肛門や膣の細菌と出会わないことから、代わりに皮膚の常在菌が腸内にすみついているそうです。

腸内細菌の研究者と話していて、帝王切開の赤ちゃんの腸内細菌はケアが必要と仰っている先生の話を聞いたことが有りますが、もしかしたらこのような腸内細菌の違いが赤ちゃんの腹部の不快感などに繋がり、かんの虫という形で症状が出ているのかもしれないと思いました。

まとめ

最後まで読んでくださりありがとうございました。この記事のポイントは、

・かんの虫のある赤ちゃんの腸内細菌は多様性が低いです
・こういった特徴は、帝王切開で生まれた赤ちゃんの特徴にも似ています

ということでした。記事にも書きましたが、かんの虫があるというのは、今回の記事のように腸内細菌が影響をしているのかもしれません。実際には腸内細菌とは別の原因があって、その結果として腸内細菌に変化が出ていることもあるので、必ずしも腸内細菌が直接の原因とは言い切れないですが、腸内細菌が悪いこととかんの虫の関係はとても興味深いなと思います。

このメカニズムとして、脳腸相関といって、腸と脳がつながっていることで、落ち着きがないということがあるということがメカニズムの一つかもしれません(下記の記事参照)。

また、単純に腸内細菌が悪いことで、腹部に不快感があるために赤ちゃんの機嫌が悪いという可能性もあります

最後に、一つだけ覚えて頂きたいことは、かんの虫は何か原因があって、不調を訴える赤ちゃんからのサインの可能性がとても高いです。必ずしもその原因が腸内環境かどうかは分かりませんが、一つの可能性として腸内環境も気にすると良いかもしません。

なにかの参考にしていただけるといいかな~と思います。それでは。

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参考文献

Intestinal Microbiota of Infants With Colic: Development and Specific Signatures. Carolina de Weerth, Susana Fuentes, Philippe Puylaert and Willem M. de Vos. Pediatrics February 2013, 131 (2) e550-e558 LINK

食品会社勤務の企業研究員。公衆衛生の講座に在籍する、社会人博士課程の大学院生でもあります。食の機能性研究、腸内細菌の研究に軸を置いています。興味関心は公衆衛生、疫学。統計の専門家に憧れます。興味のある研究について、Twitterやブログで発信しています。