健康 時事ネタ

飲酒に関するガイドラインの策定について

先日、飲酒ガイドラインが厚生労働省で取りまとめられているというニュースを見ました(LINK)。
僕は食品メーカーの中でもアルコール飲料とはカテゴリーが異なるので、全然情報もなかったため、結構びっくりしました。

このガイドライン案を見る限りではまだ目安量などは決まっていないようですが、純アルコール量として健康日本21で示された男性40g、女性20gが引用されているので、そのくらいの量が落とし所となるのかなあと思います。

純アルコール20gに相当する量はビールで500mL、日本酒180mL、ウィスキー(ダブル)60mL、焼酎(25度)100mL、ワイン200mL、チューハイ350mLくらいなので、軽く飲むくらいが目安ということになりますね。

本当はどのくらいが目安?

では、本当はどのくらいまでなら飲んで良いのか?実際のエビデンスはどんな感じなの?という疑問があると思うので簡単に紹介をしたいと思います。

情報は厚生労働省のアルコール健康障害に係る参考資料を引用しました。

一番のハードアウトカムの死亡率は男性で40g未満、女性で20g未満の場合には全死亡のリスクは低下し、それ以上摂取した場合には死亡のリスクが上がります。1日60gの飲酒をする場合には男性で1.4倍、女性で1.6倍の死亡リスクとなるので、少量であれば健康に良いとはいえ、多量の飲酒はあまり良くないと言えそうです。

全死亡のように、横軸にアルコール摂取量、縦軸に疾病リスクをプロットしたときにJ字型のカーブを描く疾病は糖尿病ですが、脳血管イベントやガンのリスクは摂取量が多いほどリスクが高くなりそうです。
全死亡のエビデンスはメタアナリシスの結果で、かなり頑健だとは思いますが、お酒は少量でも良くないというエビデンスが発表され話題になったこともあることから、少量であれば、お酒は百薬の長なのかどうかについては、まだ結論が出ていないのかなという認識はあります。

また、この資料ではほとんど示されていない大きな問題としては、アルコールの健康リスクは個人差が結構あるということです。
つまり、アセトアルデヒド分解酵素の働きが弱い人と強い人(=お酒に弱い人、強い人)では、飲酒によるリスクが大きく異なり、お酒に弱い人は健康被害のリスクも高いという当たり前の問題もあります。

日本人はお酒に弱い人が多いので、ここは気にしておいた方が良いのかなと思います。

僕はそんなにお酒は飲まないので、あまり共感できないコメントでしたが、ニュースでお酒が好きな方は、酔わずに終わってしまう量だから、この量なら飲まなくて良いとおっしゃっていて、確かにそうかもな〜と興味深く感じました。

  • この記事を書いた人

Pon

食品会社勤務の元企業研究員(PhD)。食の機能性研究、腸内細菌の研究をメインにしていました。興味関心は公衆衛生、疫学、食品の機能性。好きな食べ物はカレーと杏仁豆腐。コテンラジオ、キングダムが好きです。統計の専門家に憧れます。興味のある研究について、Xやブログで発信しています。

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