時事ネタ

日本学術会議の会員の問題について解説をします

こんにちは、最近話題になっているニュースで日本学術会議の問題をご存じですか?

どういうことなんだろうと思いつつも、あまり良く分かっていなかったので、調べたりしていたのですが、多分、多くの方があまり良く分からないまま色々言ってるなと感じたので、記事にまとめました。

早速、記事の解説に入りたいと思いますが、この記事を書いているわたしは、食品会社の企業研究員で、大学で博士課程の学生もしています。いくつか学会には所属しているので、ニュースと全く無関係ではありませんが、法律や政治的な内容については全くの素人です。

日本学術会議ってなに?どんなことをしているの?

はじめに日本学術会議がどんな組織なのか、どんなことをしているのかを紹介したいと思います。

だいたい名前のイメージの通りなんですが、学術界の横連携の組織です。横連携って何?って思うかもしれませんが、ホームページに公開されている役割として、

  1. 政府に対する政策提言
  2. 国際的な活動
  3. 科学者間ネットワークの構築
  4. 科学の役割についての世論啓発

の4つをあげています。これを見るとなんとなく内容が理解できる気がします。

さて、この組織の規模やお金の話もなんだかんだで気になるところだと思います。お察しの通り、この組織の予算は全て国から出ています。Wikipediaの情報ですが、予算は年間10~13億円くらいのようです。

常勤の職員が約50名ほどで、メチャクチャざっくりした計算ですが年間一人約800万円ほどで合計4億円くらいのようです。またこの組織のメインの働きは210名の会員からなっていますが、会員手当として4500万円ほど計上されています。会員210名の頭数で単純計算すると一人1ヵ月2万円くらいです。会員210名の先生方はホームページで公開されています。

当然、業務負担や社会的責任を伴う仕事ですので、会員の先生方は副業という意識はほとんどなく、社会貢献という目的であったり、会員であること自体が名誉で引き受けているものと思います。

また、上記の4つの役割のうち、

1.政府に対する政策提言に2.5億円
2.国際的な活動に2億円

ほどの予算がかけられ、残りが3.と4.になるようです。なんとなく活動内容やそのお金の使い道などもイメージできたのではないでしょうか?

他にも気になることがあると思いますが、つづいて、ニュースの内容を紹介したいと思います。

ニュースで問題になっていることはどういうこと?

日本学術会議の会員は任期が6年間、再任は不可で、210名のうちの半数を3年ごとに入れ替えることになっています。その任命が、日本学術会議で推薦した人を内閣総理大臣が任命するということになっています。

で、ニュースになっているのは2020年10月1日付で開始された25期の会員の中に、日本学術会議が推薦した人を内閣総理大臣が任命しなかった人がいたことが分かったのです。

いちおう、報道によると下記の6名と言われています。

  • 芦名定道 京大教授(宗教哲学)
  • 宇野重規 東大教授(政治思想史)
  • 岡田正則 早大院教授(行政法)
  • 小沢隆一 東京慈恵会医科大教授(憲法学)
  • 加藤陽子 東大院教授(日本近代史)
  • 松宮孝明 立命館大院教授(刑事法)

また、ホームページには10月3日付で下記の要望を日本学術会議から菅総理大臣に提出したことが公開されています(文書の日付は10月2日)。

  1. 2020年9月30日付で山極壽一前会長がお願いしたとおり、推薦した会員候補者が任命されない理由を説明いただきたい。
  2. 2020年8月31日付で推薦した会員候補者のうち、任命されていない方について、速やかに任命していただきたい。

任命されなかった会員について、ニュースでは6人は全員、「安全保障関連法に反対する学者の会」の呼びかけ人、または賛同者と報道されており、そこまで熱い議論にはなっていませんが、静かにニュースになっております。

政府への批判的・肯定的意見のまとめ

では、今回のニュースについてどんな反応がされているのかを調べてみると、ツイッターはけっこう荒れている感じです。そのまんま引用するのもアレなので、ソフトにまとめると、下記の通りになります。

政府への批判的意見

  • 日本学術会議は政府と独立して活動することになっている。今回の介入は学問の自由を犯す行為である。
  • 日本学術会議が推薦した会員を任命しなかった理由について、菅総理大臣には説明責任がある。

政府へ否定的な意見は、おおむね上の二つに集約されます。

1つ目の学問の自由については、考え方は色々ありますよね。国防のため、国民の生活をより豊かにするために、国が戦略をもって重点する科学分野を決めることは大いに結構だと思いますが、それを拡大解釈してしまうと、学者は皆、国に従わなければいけないということにもなります。

方向を間違えると、アカデミアが中国?って思ってしまうような、言論の自由がない場所になりかねません。

2つ目はもっとシンプルで、とりあえず説明責任は果たして欲しいと言う、ただそれだけです。

一応、昔に会員の任命は形式的なもので、中身には関与しないと言った答弁が国会で行われているなど、言った言わないの議論があったり、法律などの解釈による違法だ合法だのの議論がありますが、これらはほとんど意味のない議論なのかな~と思ったので省略します。

政府への肯定的意見

  • 国のお金で活動しており、内閣府に属する組織なんだから、拒否することは当然の権利。
  • そもそも日本学術会議という組織が不要であり、この際になくなってしまえばよい。

政府へ肯定的な意見は上の二つです。

1つ目はわたしもその通りかな~と思います。やっぱり、今回の菅総理大臣の対応に不服であれば、国のお金ではなく、各学会がお金を出し合ったり、寄付金を募るなど、完全に政府と独立した組織になるしかないのかなと思います。

各国にも同様の組織はあるようで、国によっては、政府と完全に独立していることもあるようです。

2つ目の日本学術会議に対するそもそも論ですが、実は今、Twitterで一番盛り上がっているのはこのそもそも論です。ただ、はっきり言って、このそもそも論は、菅総理大臣が完全に議論をそらしただけです。

本来の議論は日本学術会議の会員の任命に政治的介入があってよいのか、それともダメなのか?というはずですが、政治的介入をすでにしちゃってるんです。そして今はそれが菅さんの狙いどおりにヒートアップしている状況かなと思います。

日本学術会議の要望は、拒否した6名を任命してほしい、そして、今回拒否した理由を説明してほしいという内容なのに、そこに対しては基本的にはノーコメントのまま、そもそも日本学術会議っていうものはね・・・みたいな雰囲気をうま~く作ってしまったんですね。

まとめ

以上が今回のニュースをまとめた感じです。個人的には、この機関が無くなっても、海外のアカデミアとの連携を、どこかしらの組織で行う必要はあると思うので、存在自体は完全に無くすのは難しくないかな?とは思います

ただ、いくつか類似するような団体はあるみたいなので、一元化などはできる気がしますし、今回のようなことでもめるのであれば、財源が国から出る構造も変えるしかないのかもしれません。ただ、完全に財源を国費に頼らない国は、アカデミアなどへの寄付が世間一般で浸透している国だと思いますので、日本だと現実的ではないのが気の毒だなと思います。

最後に、日本学術会議へのそもそも論自体は否定しませんが、菅総理大臣は、説明すべきことはちゃんと説明した上で、こういった発言は必要だったのではないかなと思います。

たいして分かっているわけでもないのに、偉そうな記事を書いてしまいました。気を悪くした方はすみません。それでは。

参考文献

  1. 日本学術会議ホームページ LINK
  2. 日本学術会議法(昭和二十三年法律第百二十一号)LINK
  3. 誤解だらけの日本学術会議(Yahooニュース)LINK
  4. Wikipedia(日本学術会議)LINK

食品会社勤務の企業研究員。公衆衛生の講座に在籍する、社会人博士課程の大学院生でもあります。食の機能性研究、腸内細菌の研究に軸を置いています。興味関心は公衆衛生、疫学。統計の専門家に憧れます。興味のある研究について、Twitterやブログで発信しています。