健康,  腸内環境

母乳は腸内細菌にとって偉大な栄養素~ビフィズス菌を増やす

こんにちは。今日の記事は母乳と腸内細菌についてです。母乳は子供の成長にとってはもちろんですが、腸内細菌叢(そう)を形成する上でもとても大切です。

この記事では母乳に含まれるヒトミルクオリゴ糖っていうのがすごいという話をします。母乳には主に乳糖や脂質などの成分が含まれていますが、腸内環境という面で考えた時に、すごく重要な物質はヒトミルクオリゴ糖になると思います。

この記事を読んだら、できることなら母乳で育てると、腸内環境にはいいんですよ、と感じると思います。

母乳に含まれるヒトミルクオリゴ糖はすごすぎる

早速ですが、このヒトミルクオリゴ糖というのは、母乳に含まれている成分の一つです。ヒトミルクオリゴ糖と一言にまとめていますが、母乳に含まれているオリゴ糖の総称で構造が異なるものがいくつかあるようです。例えばまっすぐに連なった構造だったり、枝分かれした構造だったりです。

不思議なのは、このヒトミルクオリゴ糖は、母乳に含まれているのに、あまりにも複雑な構造をしているため子供が栄養として取り込めないそうです。

ですが、一部の腸内細菌はヒトミルクオリゴ糖を利用することが出来ます。

子供の栄養にならないということは、消化されずにそのまま腸にたどり着くので、赤ちゃんの腸内環境は自然とこのヒトミルクオリゴ糖を好む腸内細菌が増えます。

そして、その代表がビフィズス菌という訳です!

赤ちゃんの腸内細菌はビフィズス菌が増えてくる

参考文献1より改変引用

上のグラフは12人の子供の腸内細菌を産まれて1日から29日まで分析したヤクルトの研究です。

サンプルは全部で200サンプル以上になるのですが、この腸内細菌を主座標分析という方法で平面座標にグルーピングしながらプロットしたものが、左側の図です。

全てのサンプルがBタイプ、Eタイプ、Sタイプにきれいに分かれていますね。この3つのタイプのうち、赤色のBタイプというのが、ビフィズス菌が多いタイプなんです。(右上の図でそれぞれのタイプの代表的な腸内細菌をのせています)

じゃあ、いつくらいからビフィズス菌が増えていくんだろうね~というのを表したのが、右下のグラフなんですが、最初はEタイプやSタイプの腸内細菌だったのが、だんだんBタイプに変わっていますね~。

中央値を取ると2週間くらいのところで増えるのかなと思います。

ここでは詳しくは紹介しませんが、ビフィズス菌はヒトミルクオリゴ糖が好きみたいで、母乳育児によって増えていくみたいです。

プレミアムな粉ミルクと母乳ではどちらの腸内環境がよかった?

このヒトミルクオリゴ糖はさらに不思議なことに、あまりにも複雑な構造をしているため、人工的につくることができないみたいです。

少なくとも、参考文献2の方に書いてあったので、2018年の時点ではまだヒトミルクオリゴ糖を人工的に製造することはできていないようです。

そんなわけで、どんなプレミアムな粉ミルクでも母乳に勝る粉ミルクはないと言えそうです。

ただ、中国の研究では、ヒトミルクオリゴ糖を分泌する妊婦、分泌しない妊婦がいるということです(参考文献3)。しかも分泌しない妊婦さんが2割以上にもなるので、結構な人数だなあと思います。

まとめ

今回の記事をまとめると下記のようになります。

  • 母乳にはヒトミルクオリゴ糖が含まれていて、これがビフィズス菌などの腸内細菌のエサとなっています。
  • ヒトミルクオリゴ糖はヒトが摂取しても消化吸収できないため、腸内細菌のエサになります。
  • また、複雑な構造をしているので人工的に作ることもできません。

なんか、母乳というものがあまりにも計算されつくしていて、そして偉大なので、わたしは神秘的だなあと思いました。

ヒトミルクオリゴ糖は、母乳に含まれる成分の中で、とても重要な物質です。もし、この成分が人工的に作れるようになって、ヨーグルトとかに入ったら、かなり興味ありますね。

それでは。

参考文献

  1. A key genetic factor for fucosyllactose utilization affects infant gut microbiota development. Takahiro Matsuki, Kana Yahagi, Hiroshi Mori, Hoshitaka Matsumoto, Taeko Hara, Saya Tajima, Eishin Ogawa, Hiroko Kodama, Kazuya Yamamoto, Takuji Yamada, Satoshi Matsumoto & Ken Kurokawa Nature Communications volume 7, Article number: 11939 (2016) LINK
  2. Kagaku to Seibutsu 56(4): 279-286 (2018) 乳児腸内フローラの形成機構生涯の健康状態を左右する重要なイベント 牧野 博、松木 隆広 LINK
  3. Bai Y, Tao J, Zhou J, et al. Fucosylated Human Milk Oligosaccharides and N-Glycans in the Milk of Chinese Mothers Regulate the Gut Microbiome of Their Breast-Fed Infants during Different Lactation Stages. mSystems. 2018;3(6):e00206-18. Published 2018 Dec 26. doi:10.1128/mSystems.00206-18 LINK

食品会社勤務の企業研究員。公衆衛生の講座に在籍する、社会人博士課程の大学院生でもあります。食の機能性研究、腸内細菌の研究に軸を置いています。興味関心は公衆衛生、疫学。統計の専門家に憧れます。興味のある研究について、Twitterやブログで発信しています。

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