健康 食事

【世界と比較】日本の食事の問題、世界の食事の問題

2020-05-27

はじめまして、こんにちは。この記事に興味を持ってくださりありがとうございます。

今日の記事では日本人の食事の問題を世界と比較したいと思います。

ちょっとおなじみの論文ではあるのですが、GBD Studyという食事によって病気になり、死亡につながった食事要因15個をランキング形式で比較しためちゃくちゃ大作の論文です。

この論文の何が凄いかというと、一つ一つの食事要因について、アウトカムを心疾患、糖尿病、がん、その他の疾患に分けて、メタアナリシスという方法で解析しているんです。

良く分からない人も多いと思いますが、メタアナリシスというのは1つやるだけで、結構重めの研究なんです。

要は、この結構重めなメタアナリシスという作業を【15の食事要因】×【3つのアウトカム】つまり45のメタアナリシス回、プラスその他の疾病で実施した上で、世界195か国の人口動態や食事調査などから、機械学習なども使いながら再解析を行い、ランキングにしているんです。

まあ、異常なレベルで大変な研究で、こんな風に普通に紹介しているわたしもびっくりな論文です!

さて、この研究では、グローバルなデータだけでなく、世界の人口上位20か国についてはその国での死亡につながった食事要因のランキングを出しています。

ということで、やっぱり日本のデータは気になりますよね~!!!

日本のデータの特徴は、

〇 食塩が最も大きな問題で、これは世界と同じ。
〇 乳製品やカルシウムの不足で疾病になることが多い。

という感じです。ちょっと前置きが長くなりましたが、今回の記事では日本人の食生活について、この論文を引用して、世界と比較したいと思います!!!

それでは、本題に入っていきたいと思います。

日本人の食生活は基本的にめっちゃ健康長寿

富士山のイラスト

まず、大前提の話ですが、とても嬉しいこととして、人口上位20か国を比較した結果、一番死亡の人数が少なかったのは、なんと日本なんです~

これは、めっちゃうれしいですよね!

世界で1位という訳ではありませんが、人口上位20か国の中では一番健康な食生活を送れているというのはとてもありがたいことです。

ちなみにブルムバーグが発表している健康な国ランキングの2019年版では

1位 スペイン
2位 イタリア
3位 アイスランド
4位 日本

で、やっぱり日本って健康長寿の国なんだな~と思いました。

日本人の不健康な食事のポイントは??

Lancet 393:1958-1972 (2019)より引用

はい!では、一番メインの結果に入りたいと思いますが、上のグラフが人口上位20か国の不健康な食事要因のランキングです。

よこに国名が並んでいて、ちょうど真ん中あたりに日本がのっています。(数字がその国の中で死亡割合が高い食事要因の順位です)

上のグラフだと分かりにくいので、下に表にして、世界195か国のデータと比較した結果をのせます。

順位世界195か国日本
1位食塩の過剰食塩の過剰
2位全粒穀物の不足全粒穀物の不足
3位果物の不足果物の不足
4位ナッツ・種子の不足ナッツ・種子の不足
5位野菜の不足野菜の不足
6位魚介由来ω3系脂肪酸の不足食物繊維の不足
7位食物繊維の不足カルシウムの不足
8位多価不飽和脂肪酸の不足多価不飽和脂肪酸の不足
9位豆類の不足乳製品の不足
10位トランス脂肪酸の過剰加工肉の過剰
11位カルシウムの不足豆類の不足
12位加糖飲料の過剰加糖飲料の過剰
13位加工肉の過剰トランス脂肪酸の過剰
14位乳製品の不足魚介由来ω3系脂肪酸の不足
15位赤肉の過剰赤肉の過剰

どうでしょうか?この結果!めっちゃ面白いと思いませんか?

へぇ~!日本人の食事の特徴、よく出てるな~って思いますよね。

赤、青は世界195か国のデータと比較して2つ以上順位が変動している項目ですが、ω3系脂肪酸とか、めっちゃ低いですね~。魚介類まじで最高です。

ポイントを全部拾っていくと、大きく順位を変動させているのは、

2つ以上順位が上がった項目
・カルシウム
・乳製品
・加工肉

2つ以上順位が落ちた項目
・豆類
・トランス脂肪酸
・魚介由来ω3系脂肪酸

という感じです。

順位が下がったということは、日本人に特徴的な、健康な食事ということになりますが、魚介類の摂取が多く、大豆加工品も多いというのはポイントとして大きいですね。

また、トランス脂肪酸の摂取が少ないのは、パンを食べる量が少ないことが関係してそうだなと思いました。

一方で、日本人に特徴的な不健康な食事要因としては、世界195か国と比較して顕著だったのはカルシウム、乳製品!この二つは特徴的だな~と思いました。

あと、上の表では分からないのですが、食塩の過剰摂取というのも、やっぱり日本人の特徴としてあります。

というのも、疾病などで不自由になった時間まで含めた指標(DALY)では、世界195か国では1位が全粒穀物の不足なんですが、日本はDALYでも1位が食塩になっているからです。

まとめ

寿司桶に入ったお寿司のイラスト

ここまで読んでくださりありがとうございました。

この論文を読んで思ったことの一つは、やっぱり日本人の健康には少なからず日本食の特徴が影響していること。

そして、やっぱり魚介類を食べるという食文化はめちゃくちゃ大事だな~と改めて感じました。

その一方で、食塩の過剰摂取というのは何とかしなければいけないな!と思いました。

影響が大きいポイントは食塩だと思いますが、その一方で、日本人は乳製品の摂取が少ないことはなんとなく聞いたことがありましたが、思っていたよりも特徴としてはっきり出ていてびっくりしました。

乳製品はこの論文では牛乳換算で400ミリくらい飲むのが適量とかいてあるんですが、実は牛乳は400ミリも飲むと前立腺がんのリスクを上げたりします。

ですが、400ミリくらい牛乳を飲むことで、動物性たんぱく質もカルシウムもしっかりと取れて、骨粗しょう症からつながる要介護状態、認知症リスクなど幅広く、予防的につながります。

その結果、前立腺がんのリスクがちょっと上がったとしても、トータルでは健康につながるということになります。

ちょっと難しいですね~。

最後にまとめです、

  • 食塩の過剰摂取は気をつけて!
  • 乳製品も日本人は足りていないことが多いです!
  • 魚や大豆は日本食の長所!どんどん食べよう!

この記事が、みなさまの健康に少しでも役立てていただければ嬉しいなと思います。それでは。

参考文献

GBD 2017 Diet Collaborators, Lancet 393:1958-1972 (2019), Health effects of dietary risks in 195 countries, 1990–2017: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2017

  • この記事を書いた人

Pon

食品会社勤務の元企業研究員(PhD)。食の機能性研究、腸内細菌の研究をメインにしていました。興味関心は公衆衛生、疫学、食品の機能性。好きな食べ物はカレーと杏仁豆腐。コテンラジオ、キングダムが好きです。統計の専門家に憧れます。興味のある研究について、Xやブログで発信しています。

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