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【NHKスペシャルまとめ】新型コロナウィルス ビッグデータで闘う

2020-05-19

こんにちは。この記事に興味を持ってくださりありがとうございます。今日の記事は2020年5月17日に放送されたNHKスペシャル「新型コロナウィルス ビッグデータで闘う」のまとめをしたいと思います。

NHKスペシャルはほんとうに勉強になります。ですが、何気に不満なのは3月以降、学校休校に伴い家ですごすことが多くなり、まんがなどの無料公開や学習教材の無料公開をたくさんしていた中、一番公開して欲しかったNHKオンデマンドが一切無料公開しないというのは残念なことだなと思いました。

まあ、1か月無料視聴ができるので、お試しという意味ではできるのですが、やっぱりNHKの場合は契約していない方もいるので、契約している人が今以上に損をしているように感じる仕組みは作れないですよね。

さて、今回のNHKスペシャルでは京都大学・山中先生のアテンドの下で

1.20000報を解析して分かったメカニズム
2.ワクチンの今後について
3.感染者追跡データアプリの活用
4.感染者に対する社会的スティグマ

の4つのセクションで放送されました。録画したわけではないので、見落としもあると思いますが、参考になれば幸いです。

20000報の論文を解析して分かった感染メカニズム

ビッグデータのイラスト

山中先生も関わっているプロジェクトで、新型コロナウィルスに関連する論文(多分20000報くらいと言ってました)をデータベース化し、そのネットワーク解析を行っているそうです。その中でいくつか出てきた重要なキーワードとして、

〇 免疫
〇 炎症
〇 血管
〇 ACE2

が出てきたと言います。これらのキーワードから新型コロナウィルスの感染メカニズムを推定していくのがこのプロジェクトの目的になりますが、いくつかお話になっていたポイントを上げます。

炎症や血管などのキーワードが上がってきていることから、新型コロナウィルスは肺だけでなく全身に影響を及ぼす疾患であると推定されます。

血管、炎症などのキーワードを聞くと、多くの方は生活習慣病による慢性疾患をイメージされると思いますが、新型コロナウィルスに感染すると、免疫細胞の暴走が起こり、血管を傷つけ、炎症を引き起こすという説明がありました。

血管の炎症が起こると、そこから血栓ができ、動脈硬化など、死亡につながる疾病につながります。

また、糖尿病や肥満などの生活習慣病によっても、血管に慢性的な炎症を引き起こすことが知られているため、生活習慣病とCOVID-19が重なることにより、呼吸器以外の大血管障害のリスクを気をつけなければいけません

この他にも新型コロナウィルスが結合するレセプターのACE2やBCGなどについてもお話もありました。

BCGについては山中先生も注目をされていて、日本人が欧米に比べて重症化率が低い原因を「ファクターX」とメディアなどでお話していますが、BCGは、このファクターXの一つの可能性ということでした。

ただし、先日イスラエルから発表された論文は、自然実験でBCGの予防接種を受けている人と受けていない人を比較した、かなりしっかりとした論文だったようですが、ここではBCGは重症化予防の効果なしという結果でした(論文はこちらです:JAMA. Published online May 13, 2020. doi:10.1001/jama.2020.8189)。

これからワクチンはどうなるの?

ワクチンのイラスト

まず、お話になっていたのは、12月から4月までの約5か月の間で新型コロナウィルスの変異が進み、5000種類も分岐が進んでいるということでした。

わたしは5000という数をどう解釈すればよいのか分かりませんが、番組のコメントでは、インフルエンザワクチンを扱っている人からすると、5000程度の変異はそれほどびっくりする数ではないそうです。

この5000種の変異株は大きく分けるとアジア型、ヨーロッパ型、アメリカ型と分類していましたが、クラスター解析の結果では全然別の分かれ方をしていたので、単純に感染の中心がどこだったのかという分類なのかもしれません。

なるほどな―と思ったことは、ウィルスは感染拡大をしながら変異を起こしますが、基本的にはウィルスの生存戦略を考えると宿主と共存できるように、弱毒化していく方向にあるそうです。これは少しうれしい情報でした。

さて、肝心のワクチン開発の現状ですが、今開発しているワクチンは今年の冬は間に合わない、2021年の冬に間に合ってラッキーかな?ということでした。ただし、それは世界中で使えるだけの生産体制も含めた話でした。

以前にニュースで90種類近くのワクチンが開発中みたいな記事を見たのですが、実際には100を超えるワクチンの開発は進められているようですね。ただ、SARSのときに、ワクチンが完成したころに収束していて、その経験がワクチン製造者にとっては大きなトラウマになっているみたいで、そこの問題は大きいと言う話もあるようです。(これはNHKスペシャルでは話していません)

感染者追跡データアプリの開発と利用の課題

スマートフォンのアプリのイラスト

感染拡大を防止するシステムとして、各国で様々な取り組みがされています。

例えば韓国では海外からの帰国者に対してスマホのGPSで監視を行い、2週間、外出をしていないことを監視しているそうです。また、感染者についても、クレジットカード、GPS、防犯カメラなどを活用した行動の追跡を行い、氏名を伏せたうえで情報公開までしているそうです。

韓国ではMARSを経験したことで、国民の理解も大きく、比較的受け入れられているようですが、個人情報保護の問題というのは賛否が分かれます。

シンガポールでは、Bluetoothを使用して、感染者と2M以内に近づくとその後30分以内に通知が来るというスマートフォンアプリを開発し、国主導で使用を促しているそうです。

7割近くの人が使わなければ、公衆衛生上の効果は出にくい中で、2割の使用に留まっているそうです。これは、行動履歴などの個人情報を国が管理することに対する懸念からきているようです。

一方、日本でも同様のアプリの開発は進められています。慶応義塾大学の山本先生が分かりやすい解説をされていましたが、日本版アプリの開発のポイントは、

・国が行動履歴などの個人情報を利用できないように、スマートフォン内で情報をとどめることができる仕組みづくりを行う。
(現時点では世界一プライバシー保護を重視したアプリ)
・陽性の人も個人情報が出ないような仕組みづくりをする。
・第三者機関にデータの管理体制をチェックしたり、国会でルール作りを審議するなど、安心してアプリを使ってもらえるような情報開示の徹底。

などをあげていました。

保健所などでは、過剰に個人情報を集めて、公開をしているようなところがあり、例えばわたしが住んでいる山梨県では、副業がばれるとまずいからと言うことで、コンビニで働いたことを伏せてしまったという事例がありました。

このような例は、過剰に個人情報を開示することで起こる典型的な弊害で、上記のアプリを使うことで、逆に感染者のプライバシーをまもることができるとも話していました。

個人的にはここまでしっかりと考えているのであれば、家族が反対しなければ、入れてもいいなと感じました。

でも、大反対する人とか、絶対出てくるんだろうな~、ツイッターとかで、ひたすら批判を繰り返しているインフルエンサーとかは、これはチャンスとばかりに批判しそう!と思いました。

公衆衛生の視点で考えると、とにかく使用率を上げなければ、アプリ自体の効果が出ないため、安心して使える仕組み作りにとても気を使っていることが良く伝わりました。

また、そもそもの話として、感染者に対する差別意識などが強いことが根本的な問題として大きく、どんなに良いアプリができても、この差別意識が無くならない限り使用率は上がらないだろうというコメントがありました。

たしかに、この差別意識などはとても大きい問題で、保健所にうその報告をしてしまう事例などもこういった差別意識が根本的な問題としてあるんじゃないかと思います。

社会的スティグマが起こるメカニズム

一人ぼっちのイラスト

いま、世界的に感染者に対する社会的スティグマが問題となっています。2月ころには、クルーズ船のイメージもあり、海外で日本人観光客に対する差別的行動がニュース等で報道されたのを覚えている方も多いと思います。

このような差別や偏見のことをスティグマと呼びますが、このような行動を起こす心理的なメカニズムをツイッターのビッグデータを活用して解析した例が紹介されていました。

紹介された例では、京都産業大学での集団感染の炎上案件に対して、怒りのツイートとそれを治めようとするツイートの拡散スピードの比較でした。その結果、怒りのツイートがより速いスピードで拡散されていく結果になっていました。

このように怒りの感情が早く拡散された原因には、コロナ禍という特殊な状況の中で、ストレスを抱えているため、防御応答として攻撃的なツイートを行い、危険な状況を回避しようとする本能が出ていると解説していました。

ただ、このような社会的スティグマは、被害にあった人だけでなく、その2次効果というのも非常に大きな問題です。先ほどのアプリの中でも書きましたが、感染者が正しく情報提供をしないという問題の根本はこの社会的スティグマにあるということでした。

社会的スティグマをなくす方法は、事実をしっかりとみて、自分の頭で考え、様々な考え方があることを十分に理解してクリティカルシンキングを心掛けることと言ってましたが、わたしは自分を振り返ってもそれは厳しいなーと思います。

感情的なタイプの人はもっと苦手だろうな―と思うので、これは無くすことはできないんだろうな~と思ってしまいました。

さいごに

フクロウ博士のイラスト

ながい記事ですみませんでした。ここまで読んでくださりありがとうございました。本当にうれしいです。

コロナ関係の情報をまとめると、大事な情報ではありますが、気持ち的には重たくなりますね。はやく、収束して、同僚と楽しいランチタイムを過ごしたいです。

山中先生から、情報は日ごとに変わっていくので、謙虚に、情報が変わったときには、間違いを認めながら勉強を続けていくことが大切というコメントがあり、その通りだな~と思いました。(わたしのブログ、間違いだらけだったらどうしよ~とも思いました。)

ツイッターなどで、山中先生のことを、専門家じゃないんだから、著名な先生だからって信用するな!みたいなことを発信している方がいました。確かに間違いではないと思いますが、多くの方にとっては、全然知らない専門家の意見よりも、山中先生のようなインフルエンサーの意見のほうが、説得力があると思います。

また、専門家が解析に集中するためにも、メディアに対応するインフルエンサーは必要です。山中先生だってそれくらい承知の上で情報発信をしているんでしょ!と思ったので、さいごに付け加えさせていただきます。

この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

  • この記事を書いた人

Pon

食品会社勤務の元企業研究員(PhD)。食の機能性研究、腸内細菌の研究をメインにしていました。興味関心は公衆衛生、疫学、食品の機能性。好きな食べ物はカレーと杏仁豆腐。コテンラジオ、キングダムが好きです。統計の専門家に憧れます。興味のある研究について、Xやブログで発信しています。

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