健康

時計遺伝子とアレルギー:明け方に重症化するメカニズムとは?

はじめに

こんにちは。この記事に興味を持ってくださりありがとうございます。今回はアレルギーと体内時計に関する論文を紹介したいと思います。花粉症の研究になりますので、他のアレルギーでも同じ傾向があるのかまでは分かりませんが、参考になればと思います。

この記事のポイント

  • 花粉症は明け方にもっともピークが来ます。
  • そのメカニズムには時計遺伝子が関わっていることが分かっています。
  • ステロイドは重症化を和らげますが、時計遺伝子のリズムも乱れるかもしれません。

Pon(ブロガー)
私は、食品メーカーの研究員です。また、大学で病気の原因を研究する疫学を学ぶ社会人大学院生でもあります。

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ざっくりと解説!体内時計って何?

概日リズムをコントロールする遺伝子:時計遺伝子

アレルギーの話に入る前に、簡単に時計遺伝子について紹介をします。

先日、概日リズムについて別の記事で書いたので良かったら読んで下さい(【2017年度ノーベル賞】概日リズムとは何か?)。時計遺伝子というのは概日リズムをコントロールする遺伝子群を指していて、periodper)、ClockClk)などがあります。

これら時計遺伝子は概日リズムを作るサインとなるタンパク質を合成する際に活性化される遺伝子群です。これらの遺伝子群は昼夜が切り替わるタイミングで活性化することが分かっています。

例えばperは明け方に短時間活性化され、夕方は少し長く活性化される傾向があるようです。細かいデータなどは専門書に任せますが、①明け方、夕方と時計遺伝子が活性化されること、そして、②特に明け方は短時間でぱっと発現するので、概日リズムが切り替わったことを遺伝子発現から確認することができるというのがポイントです。

アレルギーはどのようにかかわっているの?

次に、この概日リズムとアレルギーについて紹介をしたいと思います。

概日リズムとアレルギーの関係について、私がそのことを最初に知ったのは、耳鼻科を受診したときでした。わりと昔の話ですが、花粉症の薬を処方されたときに、耳鼻科の先生から、症状が落ち着いていたら、朝夜の内服を夜だけにしてもらっても大丈夫と説明されたことです。

その時に先生から説明を受けた内容は、

  • 昼間眠くならないようにと言うことで朝を抜く
  • 明け方に一番アレルギー症状が出やすいから、夜にのむ

という2つのポイントを教わって、なるほどな―と思ったのです。実は、私はアトピーもあって、ときどき、寝ている間にかきむしっていることがあるのですが、だいたい明け方のような気がするので、これは腑に落ちました。

最近はブログの中で食事と時間に関する研究を紹介したのですが、アレルギーの話はかなりの方が実生活で困っていることでもあり、論文を紹介させていただきます。

モーニングアタック:アレルギーは明け方に悪化しやすい!

上のグラフは参考文献1のデータになりますが、アレルギー性鼻炎の患者に、1日の中で症状の重さの推移をアンケート形式でとったものです。

この結果を見ると、男性も女性も全く同じグラフの形をしていて、朝6時と夜9時の2回のピークがあり、圧倒的に朝6時のピークが大きいという結果でした。これはかなりキレイな結果ですね。

このように明け方にアレルギー症状00ひどくなる現象をモーニングアタックと呼ぶこともあるそうです。まだ、言葉自体はあまり知られていませんが、明け方にとくに注意が必要なことが良く分かる表現ですね。

ここでは、細かいデータは省略します。しかし、別の論文では、アレルギー反応を引き起こす抗体(IgE)の発現を、時計遺伝子がコントロールしているという研究もあります。つまり、時計遺伝子は体内時計だけでなく、私たちの体の様々な機能にも影響を及ぼしているようです

局所的なステロイド投与が時差ボケにつながるかも!

最後に一つ、薬の影響で気になる情報があったので、合わせて紹介させていただきます。アレルギー性鼻炎のステロイド剤には時計遺伝子の発現リズムを動かす作用が報告されています(参考文献2、3)。

具体的には、暗い時間帯にステロイドを使用すると時計遺伝子の発現がズレてしまい、その一方で明け方にステロイドを使用する場合には影響がないということです。

私は専門家ではないので詳しくは分かりません。ですが、時計遺伝子のスイッチを入れたり、切ったりする作用というのは、メインは光と言われています。それ以外にも食事を含めいくつかスイッチを入れる要因があるようです。

おそらくステロイドを投与することで、per遺伝子が発現してしまい、それによって私たちの体に時差ボケのような状況が起こるのではないかなと思いました。

時差ボケの身体への影響は十分に分かっていないところもあるとは思いますが、シフトワークの健康への影響は良く知られており、様々な疾病のリスクが上がることが知られています。ステロイドを使用する場合には参考にしていただければと思います。(注:治療に必要なステロイドを否定する意味合いは全くありません。重症化したアレルギーの治療には必ず医療機関に相談してください)

さいごに

ここまで読んで下さりありがとうございました。正直なところ、私の専門分野とはだいぶ違う記事でしたので、間違い等があるかもしれません。もし間違いなどがありましたらそっと教えていただけると助かります。

ですが、今回の記事にあったアレルギーと概日リズムの関連は治療をする上で、とても大事かなと思います。私が思うことは、概日リズムが乱れてしまうと、アレルギーがひどくなるピークが他の時間帯などにも出てきたりするかもしれないなと思い、規則正しい生活リズムを送ることはとても大切だなと思いました

少しでも参考になることがあれば嬉しいです。それでは。

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参考文献

  1. Cosper A., Oppenheimer J., Cox L. (2019) Circadian Rhythm of Allergic Rhinitis, Skin Testing and Allergen Immunotherapy. In: Fishbein A., Sheldon S. (eds) Allergy and Sleep. LINK 
  2. 本間 あや, アレルギー性鼻炎と時計遺伝子, 耳鼻咽喉科免疫アレルギー2020: 38(1) 13-16 LINK
  3. Honma A, Yamada Y, Nakamaru Y, Fukuda S, Honma K, Honma S. Glucocorticoids Reset the Nasal Circadian Clock in Mice. Endocrinology. 2015 Nov;156(11):4302-11. LINK

食品会社勤務の企業研究員。公衆衛生の講座に在籍する、社会人博士課程の大学院生でもあります。食の機能性研究、腸内細菌の研究に軸を置いています。興味関心は公衆衛生、疫学。統計の専門家に憧れます。興味のある研究について、Twitterやブログで発信しています。