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大手乳業メーカーのヨーグルトのプロバイオティクス、10社14株を比較

こんにちは、今回の記事では大手乳業メーカーのヨーグルトに含まれるプロバイオティクスを比較したいと思います。食品の場合は新商品などの入れ替わりがとても速いので、1部の情報が間違っているかもしれませんが、2020年8月8日現在調べた内容となります。

また、薬事法もあるので、個別の商品名やブランド名は機能性表示食品やトクホの商品では書きますが、それ以外では、記載を控えるようにします

乳業メーカーのプロバイオティクス素材紹介

明治

  • LB81乳酸菌(明治ブルガリアヨーグルト)
  • LG21乳酸菌
  • 1073R-1乳酸菌
  • PA-3乳酸菌(明治プロビオヨーグルトPA-3)

LB81乳酸菌

まず機能の前に、LB81乳酸菌と言うのは、ブルガリアヨーグルトブランドで使用されている乳酸菌です。LBは乳酸菌のことで、81というのは菌株の番号だと思っていましたが、実はブルガリア菌2038株とサーモフィラス菌1131株の末尾を組み合わせて「81」と書いていて、1つの菌株ではないようです。

ブルガリアヨーグルトはあまり機能性推しはしておらず、美味しさで訴求をしている商品ですが、「LB81乳酸菌が腸で働き、おなかの調子を良好に保ちます。」という表示できっちり特定保健用食品となっています。

LG21乳酸菌

この乳酸菌は胃で働く乳酸菌というコンセプトになります。正直なところ、このコンセプトが何を意味しているのかは、はっきり分かりません。

胃酸によって死滅することが他の乳酸菌よりも少なく、胃でも増殖するという、試験管レベルの研究データをウェブサイトで見ることができます。

胃酸で死滅していたら、生きて腸まで届くということはあり得ないので、この場合の訴求ポイントは胃で増殖するということだと思います。これはけっこうすごいことだと思っていますが、人でのしっかりとしたエビデンスがあるのかは疑問です。

その一方で、食べた人の健康にはどのように影響するのだろうかという疑問については、トクホや機能性表示食品をとっているわけではないので、はっきりと分かりません。

1073R-1乳酸菌

1073R-1乳酸菌は風邪予防、インフルエンザ予防の訴求でバカ売れしている乳酸菌ですよね。ですが、トクホなどを取っているわけでもないので、パッケージなどで機能性の訴求などは一切していません。あくまでもイメージです。

エビデンスについては、動物やヒトでインフルエンザの予防効果などを検証しており、有効性を示していますが、専門家からは厳しく否定されるような論文だったりもします。

私は、当時、その論文を読んでも、どうして否定されるのか、あまり腹落ちしなかったんですが、最近色々な疫学の専門書を読んで、ようやく理解できるようになりました。ここでは細かいことに触れるのは避けます。

そんなわけで、機能性推しでありながら、あくまでもイメージ訴求という戦略を取り続けているのがこの1073−R1乳酸菌というわけです。

PA-3乳酸菌

PA-3乳酸菌はプロビオヨーグルトPA-3というブランドで使われている乳酸菌で、血清の尿酸値を下げる機能で機能性表示食品を取っています。

非常にユニークな商品になりますね。尿酸値は割と高い方がいますが、あまり尿酸値を下げるというトクホや機能性表示食品は見ないので、この商品を試してみる価値はあるのかな~と思います

森永乳業

  • ビフィズス菌BB536(ビヒダス)

ビフィズス菌BB536

ビフィズス菌BB536はビヒダスブランドで使われているビフィズス菌です。BB536は生きて腸まで届くという特徴があります。

また「腸内のビフィズス菌を増やし、腸内環境を良好にします。お腹の調子を整えたい方に」という文言や、「大腸の腸内環境を改善し、便秘気味の方の便通を改善する」などの文言で特定保健用食品や機能性表示食品を出しています。

森永乳業の切り札のビフィズス菌と言ってもよいですが、私のイメージでは、森永のヨーグルトはどちらかと言えばカップの蓋にヨーグルトがつかないみたいなちょっとしたお客さん目線の商品特徴が好きですね。

雪印メグミルク

  • L.ガセリSBT2055、B.ロンガムSBT2928(恵 megumi)

L.ガセリSBT2055菌

雪印のヨーグルトに含まれるガセリ菌には「ガセリ菌SP株(Lactobacillus gasseri SBT2055)の働きにより、食事とともに召し上がることで脂肪の吸収を抑え、内臓脂肪を減らすのを助けるので、肥満気味の方で内臓脂肪が気になる方の食生活の改善に役立ちます。」という文言で特定保健用食品を取っています。

特定保健用食品をとっていない商品もガセリ菌が含まれるヨーグルトシリーズも機能性表示食品を取っていたりと、このガセリ菌は強いエビデンスを持っている商品だと思います。

ただ、一つ言っておくとガセリ菌の機能性表示食品の資料はちょっとパワープレーだなと思うところがあり、細かく触れるつもりはありませんが、ちょっと印象は悪いところがあります。

B.ロンガムSBT2928菌

ロンガム種はビフィズス菌の中でも良く知られた種になります。雪印のビフィズス菌のすごい所は、胃酸に負けることが無いように、カプセルに入れられている点にあります。

そうすることで、胃酸によって死滅することなく腸に届く仕組みになっています。

雪印の恵 megumiブランドでは「恵 megumi ガセリ菌SP株ヨーグルト」「ナチュレ恵 megumi」「恵 megumi ビフィズス菌SP株ヨーグルト」という3つのサブブランドがあり、ナチュレ恵はガセリ菌、ビフィズス菌の両方が含まれているため、基本的にはナチュレ恵がいいのかなと思っています。

江崎グリコ

  • ビフィズス菌BifiX

ビフィズス菌Bifix

Bifixはビフィズス菌の名前でもあり、そのまんまブランドネームでもあります。このビフィズス菌Bifixの特徴は胃酸に負けず、生きて腸に届くことにあります。

ですが、機能性表示食品やトクホなどは取得していないので、食べてどのような健康効果があるのかははっきりとは発表されていません。

Bifixの特徴は、機能性を推しているヨーグルトの中ではハードタイプに近い点にあると思います。

昔ながらのヨーグルトと近いので、わたしの家では、子供たちはブルガリアやビヒダス、ビオなどはほとんど食べませんが、Bifixはよく食べます。そんな子供たちの影響もあって私も好きでよく食べます。

ただ、グリコの方に、「僕は美味しくないと思います、変わったこと言う人ですね?」みたいなことを言われたことがあり、その印象がとても根強く、Bifixの印象を悪くしています。

ダノンジャパン

  • 高生存ビフィズス菌BE80

高生存ビフィズス菌BE80

ダノンといったらお腹の調子を整えるヨーグルトの元祖と思われる方もいるかもしれません。高生存ビフィズス菌BE80は胃酸などで死滅せずに腸まで届くという試験管レベルのエビデンスがあります。

ただ、トクホや機能性表示食品ではないため、パッケージやウェブサイトでは健康機能は一切うたっていません。

昔は、これは個人の見解ですという文言とともに、アウトなのか、すれすれなのか分かりませんが、割と過激なことを書いていましたが、そういったことは今は許されないので、全て撤去されていますね。

チチヤス

  • 乳酸菌L.カゼイ菌431

乳酸菌L.カゼイ菌431

こちらも生きて腸まで届くというコピーがありますが、トクホや機能性表示食品ではありません。ホームページにエビデンスなども記載はありませんでしたが、生きて腸に届くというエビデンスはしっかりとってるでしょう。

また、食物繊維のイヌリンも添加していて、腸に届くだけでなく、腸で増殖するための栄養源となるという訴求ポイントがあります。

チチヤスと言えば、帽子をかぶった男の子のロゴマークがかわいらしい乳業メーカーですが、2011年に伊藤園の子会社になりましたね。この時は、個人的には結構な衝撃を受けました。

協同乳業

  • ビフィズス菌LKM512:おなかにおいしいヨーグルト

ビフィズス菌LKM512

メイトーブランドの「おなかにおいしいヨーグルト」は「ビフィズス菌を増やし腸内環境を改善する」という表示で特定保健用食品を、さらに、「便通」の文言も加えた機能性表示食品も出しています

ウェブサイトを見ると、胃酸で死滅することなく腸に届くこと、さらに大腸で増殖しやすいことなどが特徴として述べられています。

また、LKM512に加えてアルギニンを添加している商品があります。この商品の特徴はお腹の中でビフィズス菌がアルギニンからポリアミンを産生するというものですが、それでどんなメリットがあるのかについては、トクホでも機能性表示食品でもないので、訴求はしていません。

私もあまりわからないのですが、ポリアミンは細胞分裂や蛋白合成などの活動に関与している成長因子で乳幼児の成長のために粉ミルクに添加したりすることもあるようです。

ウェブサイトを見ると、このアルギニン添加のヨーグルトの力の入れ方が良く分かるので、協同乳業にとっては自信作なのかもしれません。私はこの商品は知らなかったので、ちょっと気になる商品です。

オハヨー乳業

  • ロイテリ菌(L.reuteri DSM 17938株):ロイテリヨーグルト

L.reuteri DSM 17938株

「口内フローラを整える」という斬新なコンセプトで機能性表示食品をとっている、おもしろい商品です。ロイデリ菌は乳酸菌の一つのようです。

口腔内のフローラは大切ですよね。私が昔に読んだ文献では、歯周病などがあると、口腔内細菌がそこから血中に侵入し、全身に広がっていくと聞いたことがあります。

また口腔内環境は腸に比べて、自覚しやすいというポイントがありますので、歯周病や虫歯など、自分の口腔内環境に不安がある場合にはこの商品をためしてみることは良いかもしれません

ただ、口腔ケアにはマウスウォッシュや様々なタイプの歯磨き粉もありますし、歯間ブラシなども含めると、一般的な口腔内ケアでも十分できている人って限られていると思いますので、ヨーグルト食べる前に、優先することがあるんじゃない?と思ったりもします。

まあ、気になる商品の一つです。食べたこともありますが、柔らかめの食べやすいヨーグルトでした。

補足ですが、プロバイオティクスというと腸で働くというイメージですが、体に良い微生物という定義を採用し、口腔内フローラですが、プロバイオティクスとして紹介しました。定義によってはロイデリ菌はこの記事にふさわしくないかもしれません。

小岩井乳業

  • プラズマ乳酸菌

プラズマ乳酸菌

プラズマ乳酸菌はキリンが力を入れている乳酸菌ですね。プラズマ乳酸菌が含まれるヨーグルトでは特にトクホや機能性表示食品はありません。ですのでパッケージには健康機能を表示していません。

ですが、プラズマ乳酸菌自体の研究は、インフルエンザをはじめとする免疫系の強化に関する研究を積極的に行っており、訴求ポイントにしています。また、つい先日、プラズマ乳酸菌が含まれた商品で、機能性表示食品初となる「免疫サポート」で届出が受理されています。

商品の発売自体は、少し先になると思いますが、今後ますます注目が増えるのは間違いないですね。

ちなみにこのプラズマ乳酸菌は死菌でも、生菌と同じように働きますが、ヨーグルトに入っているのは生菌とのことです。

死菌というのは死んだ状態の細菌のことで、死菌を投与しても効果があるということはよくあります。これは、ポイントが2つあって、1つは生きていたとしても、ほとんどのプロバイオティクスは通過するだけで、棲みつくことがないんです。

そして、2つめは通過するときに、物理的な理由で効果が出やすいということです。たとえば菌の表面の成分が免疫細胞に触れることで細胞が活性化するなどの話であれば、死んでいる菌が通過した場合でも、生きた菌が通過した場合でも同じ反応が起こる可能性が高いです。

ということで、プラズマ乳酸菌のヨーグルトは違いますが、死んでいる菌を添加している商品もけっこうたくさんあるということは知っておいてよいと思います。

単純に製造業の視点で考えれば、生きた菌を加えるというのは、製造時に管理しなければいけない項目が絶えず変化することになるので、ものすごく大変なことですし、生きた菌を使用することでライン汚染の問題も出てきます。

ヨーグルトはそういった管理をしやすいので生菌を使っているのだと覆いますが、わざわざエビデンスを取っているくらいなので、死菌を使って商品展開を考えているのは間違いないです。

フジッコ

  • クレモリス菌FC株

クレモリス菌FC株

最後はフジッコです。一般の方はあまり知らないかもしれませんが、フジッコはロングセラーのヨーグルト商品を発売していますクレモリス菌FC株の特徴は生きて腸に届くです。

今はほとんどいないかもしれませんが、昔は、家庭でヨーグルトを作ったりすることが流行ったことがあります。その時によく紹介されていたようですね。

顆粒の種菌も販売していますし、ヨーグルトも売ってます。柔らかい食感のヨーグルトの元祖と言ってもいいかもしれません。

そんなクレモリス菌FC株ですが、トクホや機能性表示食品を取っているわけではないので、とくにパッケージで機能性を訴求してはいません。

ですが、フジッコ自体はこのクレモリス菌FC株の機能性研究を積極的に行っており、免疫やアレルギー、メタボリックシンドローム関連指標の改善などのエビデンスがあるようです。

まとめ

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。今回の記事は、一回、身近なプロバイオティクスについてまとめたくて書いたのですが、記事を書くのに時間がかかりました。

そして薬事法にも気を使ったので、もやっとするところもありますがご容赦ください。わたし自身も書きながらストレスを感じる点もありました。

ここからは、すこしだけ、ここまでの内容を整理したいと思います。

①生きて腸に届くという機能について

ほとんどのヨーグルトでこの機能はあるようです。一般的には胃酸に負けてしまいますが、市販のプロバイオティクスのヨーグルトで、生きて腸に届くというのは訴求ポイントというよりは、当然の機能と言えます。

ただ、各社で販売している、昔ながらのヨーグルト(ちょっとハードタイプで小分けになっているやつです)にはこの機能はなさそうです。

②メタボリックシンドローム関連指標の改善効果について

次にトクホや機能性表示食品として訴求している商品でメタボリックシンドロームの改善が期待できる商品は、L.ガセリSBT2055菌(雪印メグミルク)とPA-3乳酸菌(明治)くらいのようです。

内臓脂肪を下げる機能を訴求できるのは強いですよね。研究もかなりお金がかかった臨床試験だったと思います。

明治のPA-3は尿酸値を下げるという機能で、個人的にはトリッキーな感じがして面白いと思いました。実際に腸内細菌が関わって尿酸を下げるというエビデンスは知らないので、すごいなと思いました。

③その他の機能性について

ロイデリの口腔内フローラの改善というこれもまたトリッキーな機能で、なかなか口腔内細菌を除菌するという方法ではなく、有用な細菌を増やすという方法で改善させる商品ってないと思うので、いいなと思いました。

また、ヨーグルトではありませんが、プラズマ乳酸菌も免疫サポート機能で機能性表示食品の届出が受理されているので、今後、注目です。

皮膚常在菌については、いくつか論文を読んだことがありますが、口腔内細菌の有用菌についてはほぼ知らないので、普通のヨーグルトではどうなんだろう?とも思いますが、この機能性表示食品は面白いですね。

という感じで、生きて腸まで届くという機能はほとんどのヨーグルトにあり、整腸作用についてはトクホや機能性表示食品を取っていたり、いなかったりなのですが、それを除くと、機能性をパッケージ表示している商品は3つです。

それぞれのプロバイオティクスに訴求している機能などはあるというのも事実ですが、パッケージ表示できない以上は、結局のところイメージ戦略というのが正直なところです。

ヨーグルトの市場は、健康食品の中でもっともマーケットサイズが大きいと言われています。大手乳業メーカーのマーケティングによってかなり歪められた市場であるとも思っていますが、ヨーグルト自体はとても健康に良いと思っています。

また、腸内に生きたまま届くという訴求ポイントは実際には、腸に生きたまま届いたとしても、棲みつくことはほとんどないため、実際には食べ続けなければいけないということも、腸内環境の研究者にとっては常識ですが、一般の方にはそのような情報が届くことはほとんどないと思います。

このことも知っておいて良いのではないかなと思いますので参考にしてください。

最後に結論をまとめます

  • ヨーグルトは整腸作用は基本的には大きな差はないけれど、ハードタイプの昔ながらのヨーグルトよりは、柔らかいタイプのものがいいかもしれないです。
  • その他のエビデンスについては①雪印のカゼリ菌が内臓脂肪低下、②明治のPA-3乳酸菌が尿酸低下、そして③オハヨー乳業のロイデリが口腔内フローラの改善、があります。
  • その他の機能については基本的にはイメージ訴求ですので、よく考えた上で、あまり過剰な期待はしないほうが良いです。

食品会社勤務の企業研究員。公衆衛生の講座に在籍する、社会人博士課程の大学院生でもあります。食の機能性研究、腸内細菌の研究に軸を置いています。興味関心は公衆衛生、疫学。統計の専門家に憧れます。興味のある研究について、Twitterやブログで発信しています。