健康,  腸内環境

【エビデンス紹介】日本人の腸内環境の特徴は?

みなさんは日本人の腸内細菌と聞いてどのようなイメージを持っていますか?先日紹介した記事でも少し書きましたが、MetaHITやHMPと言った大規模プロジェクトの結果が公表されて、少しずつ国ごとの腸内細菌の特徴なども分かるようになってきました。

もちろん、日本人の腸内細菌の特徴も徐々に明らかになってきています。

この記事では、日本人の腸内細菌の特徴についてまとめた2つの論文を参考に、日本人の腸内細菌にどんな特徴があるのかを紹介したいと思います。

世界12ヶ国の腸内細菌を比較したらこんな感じだった

参考文献1より改変引用

はじめに世界12ヶ国で腸内細菌を測定してその特徴を比較した論文を紹介したいと思います。

この論文では世界12ヶ国から合計800名以上の腸内細菌のデータを集め、国家間の特徴を比較した論文です。日本人は約100名含まれていて、参加している方は全て健康な人です。

その結果が上のグラフでざっくりとまとめられています。棒グラフは属レベルの腸内細菌を比較したデータですが、細かいのですべての腸内細菌名はのせていません。重要だと思ったプレボテラ、バクテロイデスそしてビフィドバクテリウム(ビフィズス菌)だけ名前を記載しました。

そして、棒グラフの上に書いているトーナメント表がクラスター解析というものです。グラフの見方は高い所で出会う国同士ほど、腸内細菌が異なるということになります。

例えば、日本はオーストリア、フランス、スウェーデンとは1回戦目で出会いますので、この3ヶ国とは腸内細菌が近いです。次に米国、中国、デンマーク、スペイン、ロシアは2回戦目で当たるので、中くらい、そしてマラウィ、ベネズエラ、ペルーとは決勝戦までいかないと当たりません。つまり腸内細菌が一番遠いということになります。

マラウィ、ベネズエラ、ペルーはそれ以外の国と当たるのは決勝戦になるので、この3ヶ国は非常に特徴的な腸内細菌と言えます。この3ヶ国はプレボテラという腸内細菌が多く、欧米型の食生活では少ない腸内細菌のタイプです。

日本がオーストリア、フランス、スウェーデンと近く、遺伝的にも、文化的にも影響が大きそうな中国とはそれほど近くないというのは意外に思うかもしれません。

これについては、よく言われているのは、中華料理が油を多く使うので、栄養学的には米国の食生活と似ているんじゃないか?という考察です。ふむ、確かにそうかもって思いますよね?

日本人はビフィズス菌が多いのが特徴

参考文献2より改変引用

次にもう一つ、アジアの10地域の児童の腸内細菌を測定し、比較を行った論文を紹介します。

5ヶ国10地域のデータを比較していますが、この研究ではざっくり2パターンに分かれました。簡単に言ってしまうと都市型と田舎型の腸内細菌です。

先ほども出てきましたが、田舎型の腸内細菌ではプレボテラという腸内細菌が多いという特徴があり、一方で、都市型の腸内細菌はプレボテラが少なく、若干ビフィズス菌(ビフィドバクテリウム属)が多いです。

ただ、このビフィズス菌の割合はちゃんとに多いというよりは、プレボテラが少ない分相対的に少ないけれど、そこまで明確ではないかな~と思っています。

腸内細菌は3つのタイプに分かれる

参考文献3より改変引用

今、一般的に言われていることとしては、腸内細菌は3つのタイプに分かれるんじゃないかと言われています。これをエンテロタイプ(腸のタイプ)と名付けて、Natureで発表した論文が上記の図になります。

3つのタイプはバクテロイデス型、プレボテラ型、ルミノコッカス型の3つになるのですが、この3つのタイプに影響している食事もだいたい分かっています。

バクテロイデス型は動物性のタンパク質や脂質

プレボテラ型は炭水化物や食物繊維

そしてルミノコッカス型はバクテロイデス型、プレボテラ型の中間になります。

バクテロイデス型は欧米の食生活に近いのであまり良くないと思っている人もいますが、上のグラフで△の印は肥満なのですが(ちいさくて見づらいです)、肥満の割合はプレボテラ型に多いなど、どのエンテロタイプが健康なのかと言及するのは難しいです。

また、ここまで読んでいると何となくわかるかもしれませんが、バクテロイデス型は欧米の人に多く、プレボテラ型は東南アジアやアフリカ、南米などに多いです。日本人はルミノコッカス型が多いと思いますが、ルミノコッカス型の特徴的な腸内細菌は集団によって多少違いがあるようです。

参考文献1から考えると、日本人のルミノコッカス型の特徴的な腸内細菌はブラウティアやビフィズス菌という菌ではないかなあと思いますが、これから明らかにされるかもしれません。

これはふつうに楽しみです。

まとめ

ここまで読んでくださりありがとうございました。今回の記事では、日本人の腸内細菌叢(そう)をざっと見ることができるような記事にしようと思い、特に参考になる論文3つを紹介しました。ポイントをまとめると、

  • 日本人の腸内細菌はフランス、スウェーデン、オーストリアなどと近い
  • 日本人の児童はプレボテラが少なく、ビフィズス菌が多い
  • 一般的に腸内細菌のタイプはバクテロイデス型、プレボテラ型、ルミノコッカス型が多く、日本人は比較的ルミノコッカス型が多い

という感じです。まだまだ、腸内細菌に関する情報を紹介していきたいと思います。それでは。

参考情報

参考文献

  1. Nishijima, S., Suda, W., Oshima, K., Kim, S. W., Hirose, Y., Morita, H., & Hattori, M. (2016). The gut microbiome of healthy Japanese and its microbial and functional uniqueness. DNA Research, 23(2), 125-133
  2. Diversity in gut bacterial community of school-age children in Asia. Jiro Nakayama, Koichi Watanabe, Yuan-Kun Lee et al. Scientific Reports volume 5, Article number: 8397 (2015)
  3. Enterotypes of the human gut microbiome. Manimozhiyan Arumugam, Jeroen Raes,Peer Bork et al. Nature volume 473, pages174–180 (2011)

食品会社勤務の企業研究員。公衆衛生の講座に在籍する、社会人博士課程の大学院生でもあります。食の機能性研究、腸内細菌の研究に軸を置いています。興味関心は公衆衛生、疫学。統計の専門家に憧れます。興味のある研究について、Twitterやブログで発信しています。

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