健康,  食事

健康格差と食 世界195カ国の研究から分かること

こんにちは。この記事に興味を持ってくださりありがとうございます。わたしのブログでは、食と健康に関する情報を紹介しています。

この記事では、健康格差と食生活に焦点を当てたいと思います。健康格差とは、経済的な豊かさが健康に影響を与えることを指していて、低所得家庭では十分な医療を受けられない、健康で豊かな生活ができないなど様々な壁に経済問題が関わっていることなどを指します。

このような健康格差は当然、食生活にも関わってきます。しかし、その一方で贅沢な食生活を送っていると病気になる、一昔前の日本食のほうが健康だったといった話も聞きますし、そう考えている方も多いのではないでしょうか?

この記事では食事が関連する健康格差はどのようなものが、どの程度あるかについてまとめました。

世界195カ国を比較した、食事による健康格差への影響

死亡者数は高所得層だけ極端に低い

図1所得層別、死因別の10万人当たりの食事が関連する死亡数(参考文献を改変引用)

早速ですが、はじめに世界195カ国の食事が原因の10万人当たりの死亡者数をグラフにしました。どのように感じますか?この結果では、中高所得の国で最も死亡率が高いです。

でも、どちらかというとこのグラフから分かることは、高所得の国で食事が関連する病気による死亡が圧倒的に少ないということではないかと思います。

逆に中高所得の国から低所得の国の間の差はそこまで大きくないかなとも思いますね。

この結果だけ見ると健康格差というのは食事にも出ているんだなと言えると思います。

所得が上がるほどがんの割合が高くなる

図2所得層別、死因別の10万人当たりの食事が関連する死亡割合(参考文献を改変引用)

つづいて、先ほどのグラフ(図1)を100%積み上げ棒グラフに変換したものが上のグラフ(図2)になります。

このグラフから、所得によってどのような病気による死亡が多いか、その内訳が見えてくると思います。わたしのブログではたびたび、食事による死亡は圧倒的に心血管疾患が多いと書いてきました。この結果もそれを支持していますが、もう一つ非常に大きな特徴があります。

それは高所得の国でがんが多いことです。

この結果は興味深いなあと思いますが、次にこの原因となる食生活について考察をしていきたいと思います。

所得の違いによって異なる食生活

高所得の国では加工肉の過剰摂取による死亡が多い!

図3 高所得の国の死亡原因となる食材(論文より改変)

ここから、各所得層がどのような食事因子が原因で病気となり、死亡したのかをブロックチャートで紹介したいと思います。

まずは高所得の国です。

全粒穀物、食塩、ナッツ・種子類、果物となっており、個人的には自分が気をつけなければいけないと思っているのと近い結果になっていました。

また、特に注目してもらいたいのは、加工肉という項目があるのですが、おそらく高所得の国でがんが多かったのはこの加工肉の影響だったのではないかなあと思います。

この加工肉が高所得の国以外でどのようになっているか注目しながら読み進めてください。それでは、他の所得隊の結果を見たいと思います。

中高所得の国では食塩の過剰摂取による死亡の割合が最も多い

図4 中高所得の国の死亡原因となる食材(論文より改変)

こちらが図1で最も死亡割合が高かった中高所得の国の結果です。

基本的には高所得の国と似ていると思いますが、ポイントとして上げられるのは食塩の摂取量が非常に高いことかと思います。こういった結果はファーストフードなど、安価で味の濃い外食サービスを利用する家庭などで特に顕著にみられるというのはイメージできると思います。

また、加工肉はさっきのグラフと比べてだいぶ減ったのが分かります。

ソーセージなどは確かに食材としては価格が高いかもしれませんが、このグラフを見る限りでは、中高所得の国では大分加工肉を食べる習慣が少なくなってそうですね。



中低所得の国では食塩や加工肉の過剰摂取は少ない

図5 中低所得の国の死亡原因となる食材(論文より改変)

さらに中低所得の国の結果をみたいと思います。中低所得の国は中高所得の国に次いで食事による死亡が多かった所得層になります。

この結果を見ると、食塩の摂取による死亡が大きく下がり、加工肉による死亡は亡くなりました。食塩は図3、図4では2位、1位となっていたのに、中低所得の国では4位となり、明らかに食生活に違った傾向がみられるのが見て取れます。

おそらく中低所得の国では食事が穀物に偏っているのではないかなあと思います。そのため栄養バランスが非常に悪い結果になったのではないかなあと思います。

健康格差と食を考える

いかがでしたか、この結果を見る限りでは所得層によって明らかに食生活が異なり、食事による疾病も死亡する割合も異なっていることが分かると思います。

ただ、正直なところこの結果だけ見て高所得の国で死亡割合が低いことは食事だけで説明するのは難しいのではないかなあというのがわたしの考えです。結局のところ、先進国には先進国の、途上国には途上国の食事の問題があり、さらにその上に各国の医療体制などの影響が加わっているんだろうなと思います。

また、これらの結果から、食事の違いは見ることができますが、結局のところ、わたしたちが気をつけることで何が言えるかと言えば、日本は高所得の国に入りますので、

〇 絶対的な影響としては全粒穀物、食塩、ナッツ・種子類、果物の摂取
〇 相対的な影響としては、他の所得層と比べて赤肉や加工肉の摂取

に気をつけることが大切かなと思います。

比較をしても、イマイチ考察が上手くできないこともあり、きれいにまとめるのが難しい結果ですが、こういったことを頭の片隅にでも入れていることで、自分の食生活を見直したり、外食などをするときに気をつけるきっかけになったら嬉しいなと思います。最後まで読んでくださりありがとうございました。それでは。

参考文献

Lancet. 2019 May 11;393(10184):1958-1972. doi: 10.1016/S0140-6736(19)30041-8. Epub 2019 Apr 4.Health Effects of Dietary Risks in 195 Countries, 1990-2017: A Systematic Analysis for the Global Burden of Disease Study 2017

食品会社勤務の企業研究員。公衆衛生の講座に在籍する、社会人博士課程の大学院生でもあります。食の機能性研究、腸内細菌の研究に軸を置いています。興味関心は公衆衛生、疫学。統計の専門家に憧れます。興味のある研究について、Twitterやブログで発信しています。

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