健康,  食事

魚を食べると頭がよくなるという仮説を検証した研究の紹介

はじめまして、こんにちは。この記事に興味を持ってくださりありがとうございます。

わたしのブログでは、主に食や健康に関する記事を書いています。前回の記事では魚介類について記事を書いたのですが、もう少し書き足したいと思い新たに記事を書かせていただきました。

この記事では、魚を食べると頭がよくなるという都市伝説的な情報について紹介をします。

魚を食べると頭がよくなるというのは、結構昔から言われているようですが、そのメカニズムについてはちゃんとした報告はないようです。

今回の記事ではそれが睡眠の質が関係していたかもしれないという中国の論文を紹介させていただきます。

頭がよくなるというDHAっていったい何者?

多価不飽和脂肪酸(PUFA)をまとめたよ!

魚を食べると頭がよくなるは、魚介類に含まれるDHAという脂肪酸が有効成分と言われています。

DHAの話をする前に、DHAは多価不飽和脂肪酸の一つなんですが、そもそも多価不飽和脂肪酸もあんまりわかんねーよ!っていう人もいると思うので、そこから紹介させていただきます。

まあ、この辺の話は、書いている私は勉強になっていいのですが、興味ねえよ!って人は飛ばしてしまってください。

多価不飽和脂肪酸(通称PUFA:polyunsaturated fatty acid)というのは、脂肪酸の中で、不飽和結合を2つ以上持っているものです。

脂肪酸には炭素鎖があるのですが、不飽和結合の部分が曲がるんです。同じ結合が繰り返されている構造の中にちがう結合があったらそこが歪むのはなんとなく分かると思います。

で、このように不飽和結合が増えると、脂質は柔らかく、流動性が増えるそうです。脂質で血液がドロドロになるイメージは多くの方が持っていると思うので、柔らかい脂質が体にいいというのは、感覚的に分かりますよね。

多価不飽和脂肪酸は2つ以上不飽和結合があるので、要はかなり柔らかめの脂質ということです。

ここからまたややこしくなるんですが、代表的な多価不飽和脂肪酸を表にします。ちなみにこのωなんとか系というのは、不飽和結合の場所なので、ω-3系どうし、ω-6系どうしは構造が似ているってことですね。

(ωなんとか系脂肪酸だからと言って全てが多価不飽和脂肪酸ではないです。)

大分類名前(慣用名)多く含まれる食材
ω-3系脂肪酸α-リノレン酸エゴマ、菜種など
エイコサペンタエン酸(EPA)魚介類
ドコサペンタエン酸(DPA)魚介類
ドコサヘキサエン酸(DHA)魚介類
ω-6系脂肪酸リノール酸ベニバナ、コーン
アラキドン酸肉など

このような感じで、何となく聞いたことがあるDHA、DPA、EPAなどは、何となく聞いたことがあるω-3系脂肪酸の仲間の脂肪酸なのです。

そもそもDHAってなに?頭良くなるイメージあるけどメカニズムは不明

このω-3系脂肪酸はオメガ3という名前でまとめて機能性素材として訴求されることもありますし、例えばニッスイはEPA・DHAに特に力を入れているように、個別の慣用名で訴求している場合もあります。

その中でも、DHAは特に頭がよくなるなど、脳機能のイメージが結構あるんじゃないかと思います。

ですが、意外にもなんでDHAで頭がよくなるの?ってことは謎に包まれているようで、このことを研究した中国の論文が一時期わりと話題になっていました。

魚を食べて認知機能が上昇し、IQが上がったという研究

中国人の子供を対象に行った観察研究

今回紹介する論文は下記の論文です。

Liu et al. The mediating role of sleep in the fish consumption – cognitive functioning relationship:a cohort study. Sci Rep 7, 17961 (2017)

この研究は中国人のこどもたちを対象に行った研究で、9~11歳のときに魚をどれくらい食べたかをアンケートで質問して、12歳のときにIQのテストをしたという研究です。

なんで最初からIQのテストをしなかったのかは良く分かりませんが、研究に参加した子供の人数は541人と、それなりに規模の大きい研究です。

結果は、子どもたちの魚の摂取量をめったに食べない(16%)、ときどき食べる(58%)、よく食べる(25%)に分けて、魚の摂取量とIQの関係を調べたという内容になります。

IQは5ポイント位高かった。これは結構大きい差です!

論文より引用

この結果が上のグラフになります。

めったに食べない人(Never / Seldom)と比べて、ときどき食べる人(Sometimes)、よく食べる人(Often)のIQがきれいに上がっていることが分かりますね。

具体的にはFIQの値がめったに食べない人とよく食べる人では4.8の違いがあったそうです。

ちなみにVIQは言語(verbal)、PIQは動作(Performance)を表していて、FIQは全検査(Full scale)のIQスコアとなります。

知っている方も多いと思いますが、IQは平均が100で、70から130の間に95%の人が入るようにできています。点数の分布は正規分布といって平均点を中心に上にも下にも対称にばらつくように分布されます。

ですので、IQのスコアが70より低い人の割合と130より高い人の割合は同じになります。つまりはIQが130以上の人は上位2.5%、IQが70未満の人は下位2.5%ということですね。

高い分には問題ありませんが、70未満の場合には知的障害とも考えられますし(一般的に70~75未満の人は障碍者認定となります)、生活をしている中で困ることも多くなりますので、ちゃんと専門家に相談をした方が良いかもしれません。

その理由として考えられる睡眠の改善

さて、この結果ですが、それではなぜIQに差が出たのか、原因となりそうな要因をまとめると、睡眠の質に違いが見られたそうです。

たとえば、朝スッキリ目覚めたか?とか、夜中に目が覚めたりしないか?とかそんなことを質問して、スコア化しているイメージです。

IQなどは親の年収や学歴など社会経済学的な要因の影響を受けやすいのですが、この睡眠の質の影響は、親の年収などの要因を取り除いてもしっかりと出たようです。

魚介類のω-3系脂肪酸はメラトニン産生を通して睡眠の質を高めるということは報告があって、睡眠とIQの関係も報告されているようですが、このように一つの研究でまとめられたことに新しさがあるのかなと思いました。

まとめ

最後まで読んでくださりありがとうございました。

今回の記事のポイントは、

〇 多価不飽和脂肪酸(PUFA)の中にω3系脂肪酸があり、その中にDHA、EPA、DPAなどが含まれる。
〇 中国の研究で魚を食べるほどIQが高くなる。そして、そこには睡眠が関連しているかもしれない。

ということでした。

きれいに謎が解けたという訳ではありませんが、頭が良いに越したことはないと思うので、やっぱり魚は食べないとなと思いました。

この記事が少しでもお役に立ったら嬉しいです。それでは。

食品会社勤務の企業研究員。公衆衛生の講座に在籍する、社会人博士課程の大学院生でもあります。食の機能性研究、腸内細菌の研究に軸を置いています。興味関心は公衆衛生、疫学。統計の専門家に憧れます。興味のある研究について、Twitterやブログで発信しています。

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