健康

コロナに感染した人の再感染率はどのくらいなの?を調べた論文

はじめに

こんにちは。この記事に興味を持ってくださりありがとうございます。ワクチン接種が進んでいますね。ですが、その一方で、医療従事者、高齢者と接種を進めて、若年層はいつになるんでしょうか?という感じもあります。

以前、NHKのテレビ番組で尾身先生が出演されていた時には、

ハイリスクの高齢者から接種するので、夏頃までには死亡率は減少する
その一方で、動き回る若年層は接種できないので、感染者数はそこまで減少しない

と仰っていたのがすごく印象的で、死亡率を下げることを最優先する戦略で進めていくので、コロナ自体が収まるのはかなり先なんだなと感じました。

1年後くらいには大分落ち着いているといいなと思います。

さて、そんな中、一度感染した人(=抗体検査で陽性だった人)と感染していない人で、どれだけ感染リスクが異なるかを調べたイギリスの研究が公開されました。一度感染した人は、自分はもう感染しないんじゃないかと思っていると思いますが、実際のデータを見てみた!という論文です。

ワクチン接種の優先順位などを決めるうえでも重要なエビデンスになるかなあと思いますので、よかったら読んで下さい。

Pon(ブロガー)
腸内環境などに興味があります。食品メーカーで働いています。社会人大学院生です。Twitterでは、気になった論文などを紹介しています。

抗体保持者は再感染のリスクを約85%低下

さっそく論文(参考文献)の中身を紹介したいと思いますが、試験のデザインは下記の通りです。

参加者イギリス在住
約25,000人(解析対象者)
2020年6~12月に募集
曝露群抗体検査陽性群
n = 8,278
コントロール群抗体検査陰性群
n = 17,383
アウトカムPCR検査による感染確認

参加者の人数も、十分な印象です。そして、結果ですが、

  • 抗体陽性群では8,278人のうち115症例の再感染、100,000人ー日あたり7.6症例
  • 抗体陰性群では17,383人のうち1,704症例の感染、100,000人ー日あたり57.3症例
  • 発生率比は0.159[95% CI 0·13–0·19]

発生率比0.16、つまり一度感染した場合には84%の感染を抑えることができるという結果でした。グラフで表すと下記のような結果になります。

参考文献より引用

ちょっと気になるのは、抗体陰性のグループは9月以降どんどん感染者が増えているのに、抗体陽性群の1回目の感染が、あまり増えていないので、そもそも参加者の割り付けとかは適切なのかな?と思いました。

ちゃんと研究デザインの中で考えられているのかもしれませんが、わたしも、もう少しちゃんと勉強しないと良く分かりません。

ただ、抗体を持っていたら、もう感染しないと言うにはあまりにも楽観的かもしれませんが、少なくともワクチンと同程度の効果があったということがこの結果から言えそうです

公開されているワクチンと比較した効果の差

さて、今回の論文で一番気になるのは、実際にワクチンと比べてどのくらいの効果なの?と言うことかと思います。

原文をしっかりと確認できていないものもありますが、ワクチンと比較をすると下記の通りになります。J&Jは1回接種の効果で、他は2回接種ですね。

効果出典
ファイザー・BioNTechmRNAワクチン95%NEJM
モデルナmRNAワクチン94%NEJM
アストラゼネカ・オクスフォードアデノウイルス ベクターワクチン70%Lancet
ジョンソン&ジョンソンアデノウイルス ベクターワクチン66%JAMA
今回の記事抗体陽性84%Lancet

さいごに

ここまで読んで頂きありがとうございました。今回の論文はどのように感じましたか?

多くの方が、1度感染したらワクチンは接種しなくてよいかな?と感じたのではないかなと思います。あくまでもわたしの感想ですが、もし、わたしが抗体陽性だったとしたら、アストラゼネカやJ&Jのワクチンなら、接種しないだろうなと思いました。

ニュースでは、感染した人もワクチンを接種することを推奨するという専門家の意見を何回か見ていますが、実際、どうなんだろうな~とは思っていました。

ファイザー、モデルナのワクチンであれば、それも良いのかもしれないなとも思いましたが、わたしはその場合でも、抗体が無い人がまずはワクチンを優先的に接種した方がいいんだろうなとは思いました。

今回の研究は抗体陽性の方の再感染率を調べた研究でしたが、別の研究で、抗体陽性の方がワクチンを1回接種した場合の研究も発表されています。わたしもまだ目を通していませんが、また紹介できたらなと思っています。

この記事が何かの参考になったら嬉しいです。
それでは。

参考文献

Hall, V. J., Foulkes, S., Charlett, A., Atti, A., Monk, E. J., Simmons, R., Wellington, E., Cole, M. J., Saei, A., Oguti, B., Munro, K., Wallace, S., Kirwan, P. D., Shrotri, M., Vusirikala, A., Rokadiya, S., Kall, M., Zambon, M., Ramsay, M., Brooks, T., … SIREN Study Group (2021). SARS-CoV-2 infection rates of antibody-positive compared with antibody-negative health-care workers in England: a large, multicentre, prospective cohort study (SIREN). Lancet (London, England), S0140-6736(21)00675-9. Advance online publication. https://doi.org/10.1016/S0140-6736(21)00675-9

食品会社勤務の企業研究員。公衆衛生の講座に在籍する、社会人博士課程の大学院生でもあります。食の機能性研究、腸内細菌の研究に軸を置いています。興味関心は公衆衛生、疫学。統計の専門家に憧れます。興味のある研究について、Twitterやブログで発信しています。