健康 食事

日本食と言えば魚介類。心血管疾患や認知症予防のエビデンスについて

2020-06-17

はじめまして、こんにちは。この記事に興味を持ってくださりありがとうございます。

魚介類と聞くと、どんなイメージを持ちますか?魚は好きな人は多いと思いますがみなさん食べていますか?

魚介類は日本人の食文化の特徴の一つでもありますし、同時に和食の健康機能を高めている重要なポイントだと思います。

わたしもできる限り魚介類はちゃんと食べるように意識したいな~と日ごろから意識しています。

この記事では、そんな魚介類の健康機能をまとめていきたいと思います。

日本人はやっぱり魚をたくさん食べていた!

世界でもっとも魚介類を食べているのは誰?

水産省ウェブサイトのデータからグラフ作成

世界で最も魚介類を食べている国ってどこか知っていますか?とあるウェブサイトではインド洋の島国モルディブが1位となっていました。

お~。モルディブか~。大分盲点だったけど、納得ダゼ!ちなみにそのウェブサイトでは2位アイスランド、3位キリバスまあ、大分古いデータですが。(リンクはこちら。センスの良いウェブサイトです)

で、水産省が発表しているデータだと上のグラフです。

2013年でグラフが切れてるんですが、韓国、ノルウェー、日本がデッドヒートで、2020年はどうなったんだよ!気になるじゃん!みたいな感じです。

いろいろ探してみたのですが、公式データが見当たらなかったので、諦めましたが、日本はみなさんご存じの通り、よく食べています。ですが、減少傾向が著しく、一時は年間70キロも消費していたのに、50キロまで下がっているのは心配です。

日本は他国に比べω-3系脂肪酸の不足による死亡が少ない

参考文献1より引用 国別の健康に影響を与えた食事要因のランキング(ヒートマップ)

さて、そんな魚介類ですが、やっぱり健康に与える影響もめちゃくちゃ大きいようで、上のグラフは健康にかかわる15の食事要因を国別で順位をつけたものですが、日本では魚介類由来のω-3の不足で亡くなっている割合が、圧倒的に低く、15項目の中の14位です。

結果を見て一目瞭然ですが、人口上位20カ国の他の国では、魚介類由来のω-3の不足は6位以内に入っていて、比較的健康に与えている要因として魚介類の不足の影響はとても大きいのですが、日本人では他国に比べて小さいです。

この結果は、日本食の健康機能の特徴を表す面白い結果だなあと、見ていてちょっと感激しました。

魚介類摂取が心血管疾患や認知症の予防になる!

ω-3は心血管疾患のリスクを下げる

参考文献1より改変引用 世界195カ国での健康に影響を与えた食事要因の比較

それでは、魚介類の不足がどんな疾病に影響を与えているのかを、論文のデータから引用すると、上のグラフの通りになります。

キホン、心血管疾患の予防です。

もちろん、他のエビデンスもあると思いますが、圧倒的に心血管疾患の影響が大きいので、DALY(早死にや障害の合計年数)に与える影響としては無視してもいいかもってレベルですね。(いや、無視しちゃいけないんだけど、このデータからだと考慮できないですね!)

こんな感じで、ω-3ってサプリメントの広告宣伝のイメージが強いため、ダイエット素材の印象が強いと思いますが、厚生労働省のHPでは、心血管疾患に対してさえも、断定的なコメントは避けていて、他の機能については、リウマチの予防効果が若干あるかもしれないくらいに考えている感じです。

東北大のコホート研究で報告された魚介類の認知症予防効果

折角、日本人が大好きで、わたしとしても激推しの魚介類なので、他のエビデンスも調べてみると、魚介類をたくさん食べている地中海食は認知症予防効果があることが報告されていて、じゃあ和食ではどうなのってことで評価している論文がありました。

この研究は東北大学の研究チームの発表なのですが、魚の摂取量と認知症の関係を評価していて、年齢や性別に加え、身体的特徴や食事週間などの影響を取り除いて解析すると、魚を食べている人の認知症のリスクは下記の通りでした。

結果を見て分かる通り、魚介類の摂取は認知症に予防的に働きそうです

ちなみにこのメカニズムとかはあまり良く分かっていないのですが、ある研究では、ω-3系脂肪酸によって睡眠の質が改善されるという報告もあり、睡眠の質が改善することによって、間接的に健康な脳機能に影響しているという仮説もあるそうです。

これは面白いなーと思っているのですが、そこまで言及できる知識がないので、調べる機会があれば記事にしたいなと思います。

ちょっとグラフの形がU字型になっていて、無限に食べまくってよいのかが気になりますが、おそらく53~96 gくらいまでは食べれば食べるほど良いけれど、それ以上になるとどっちでもいいのかなと思います。

まあ、でも普通に食べすぎは良くないと思うので、量はちょっと気をつけましょう!

まとめ

ここまで読んでくださりありがとうございました。今回の記事をまとめると、

〇 日本人は魚をたくさん食べています。
〇 魚の健康成分はω-3脂肪酸で、心血管疾患の予防になります。
〇 認知症の予防にもなる可能性があります。

こんな感じで、やっぱりわたしの結論とすると、魚は食べたほうがいい!

認知症に関しては、ちょっとエビデンスが弱い所もあると思うのですが、これから研究が進んでいく分野だと思うので、これだけ効果が出ているのであれば、期待できるんだろうな~と思っています。

体のことを考えるとぜひ魚を積極的に食べたほうがいいな!と改めて思いました。

この記事が、少しでも参考になれば嬉しいです。それでは。

参考文献

  1. Lancet. 2019 May 11;393(10184):1958-1972. doi: 10.1016/S0140-6736(19)30041-8. Epub 2019 Apr 4.Health Effects of Dietary Risks in 195 Countries, 1990-2017: A Systematic Analysis for the Global Burden of Disease Study 2017
  2. Turumaki et al. Fish consumption and risk of incident dementia in elderly Japanese: the Ohsaki cohort 2006 study. Br J Nutr 122, (1028) 2019 ,1182-1191
  • この記事を書いた人

Pon

食品会社勤務の元企業研究員(PhD)。食の機能性研究、腸内細菌の研究をメインにしていました。興味関心は公衆衛生、疫学、食品の機能性。好きな食べ物はカレーと杏仁豆腐。コテンラジオ、キングダムが好きです。統計の専門家に憧れます。興味のある研究について、Xやブログで発信しています。

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