健康 食事

世界で最も多くの人の健康に影響を与える食材「全粒穀物」

2020-06-07

はじめに

はじめまして、こんにちは。この記事に興味を持ってくださりありがとうございます。わたしのブログでは食と健康に関する情報を中心に記事を書いていますが、今日の記事では「全粒穀物」について書きたいと思います。

今回の記事を書くことになったきっかけはある論文で、全粒穀物の不足が世界の疾病由来の傷病そして死亡に最も影響していると報告があったためです。

世界的には全粒穀物というのはとても注目されていますが、日本ではあまり全粒穀物を気にしている人は少ないように思います。この記事では、

〇 全粒穀物ってそもそも何なの。
〇 全粒穀物を摂取することでどんな病気になるのか?
〇 具体的にオススメの食事は?

について紹介をしたいと思います。

Pon(ブロガー/会社員/社会人大学院生)
この記事を書いているわたしは、食品会社で機能性の研究などをしている企業研究員です。社会人大学院生として大学で疫学(病気の原因を調べる学問)を学んでいる学生でもあります。(詳しいプロフィールはこちら

全粒穀物は、茶色い炭水化物。茶色い炭水化物で食事のベースを健康的にしよう!

では早速ですが、全粒穀物というのは外皮を残した状態の穀物です。

ここでは全粒穀物を茶色い炭水化物、白米や小麦粉などのように外皮を削った穀物を白い炭水化物という言い方をさせていただきます。

わたしたちが食べている白い炭水化物は、外皮を取り除くことでえぐみやもさもさとした食感がなくなり、食べやすくなります。

お米では外皮を10%くらい削ります。小麦はもっと複雑で、だいたい40%くらいを削るのですが、外皮のふすまに残っているデンプンをかき集めたりとかなり細かい加工を繰り返しています。

あまり知られていませんが、日本の小麦製粉の技術は本当に高く、この技術がおいしいパンや麺類につながっています。

さて、話を茶色い炭水化物の全粒穀物に戻しますが、このようにわたしたちは当たり前のように外皮の部分を捨てて、食べやすい糖質の部分だけを取り出して、食べています。

しかし、この外皮の部分には食物繊維やミネラル、ビタミンなどが多く含まれています

主食のポイントはたくさん食べる食品ということです。つまり主食を茶色い炭水化物から白い炭水化物にすることで、食物繊維やミネラル、ビタミンなどの栄養素はごっそりと失われてしまいます

ざっくりと分けると、茶色い炭水化物は体にいい食品、白い炭水化物は体に悪い食品です。

主食が体にいい食品から悪い食品に置き換わると、それはもうベースの食生活が悪いと言うことになってしまいますよね。

それでは、実際にどれくらい体に悪いのかをデータを見ながら考えたいと思います。

茶色い炭水化物の不足が世界で最も病気や死亡に影響する食事要因です

参考文献より改変引用

上のグラフはどんな食生活が病気や障害の原因になるのかをランキング形式でまとめたランセットという雑誌の研究結果です。

上のデータは世界195か国の結果を統合したものですが、その中の堂々の1位が全粒穀物です。因みに日本人だけのデータでは、1位は食塩の過剰摂取です。

また、どんな病気の原因となっているのかを色別で示していますが、赤色の心血管疾患が特に多いことが分かります。

つまり、茶色い炭水化物が不足すると心血管疾患で病気になったり、死亡するリスクが上がるということです。これは、白い炭水化物を食べていると、食後の血糖値が急激に上昇することと関係があります。

重要なことは、炭水化物はエネルギーになるので摂取することがとても大事ですが、急激に血糖値を上げるような食べ方は良くないということです。

じゃあどうするのかというときに出てくるのが茶色い炭水化物です。食物繊維は基本的に糖質の吸収を穏やかにしますが、糖質と一緒に食物繊維をとらなければいけません

その点で非常に合理的なのが、茶色い炭水化物になるのです。

確かにそうですよね~。茶色い炭水化物には糖質も食物繊維も含まれているから、一緒に取れますものね。しかも、上に書きましたが、主食ということで、絶対量としてもたくさんとれるというメリットまであります。

上手に茶色い炭水化物をとるように心がけよう!

ここまで書くと、本当に茶色い炭水化物をとることはメリットしかないと思います。ですが、一つだけ注意したいことを書いておきます。それは、結構好き嫌いが分かれるということです。

玄米や全粒粉のパンなどは正直な話、真っ白なごはんやパンに慣れてしまっていると、あまり美味しく感じないというのが現実だと思います。

がまんして食べると、絶対に続きません。ですので、色々と工夫をすることが大事だと思います。

例えば、大麦などは削っているので厳密には白い炭水化物になりますが、食物繊維は多く含まれているので、茶色い炭水化物に近い食材と考えて良いと思います。

大麦にもいろいろな種類がありますが、米粒麦というものは、形をお米に似せて整えているので、比較的違和感なく食べれますし、もち麦は食物繊維が多いだけでなく、食感も人気です。

また、朝食であればグラノーラ系のシリアルなどにしてみるのがオススメです。大手メーカーのグラノーラはお菓子っぽくて食べやすいのですが、パフとかは白い炭水化物になるのでちょっと注意です。

わたしのオススメはミューズリーという、ぎりぎり可食のシリアルをグラノーラに混ぜることで、満腹感も出るし、茶色い炭水化物の割合も増やせます!

まとめ

最後まで読んでくださりありがとうございました。

今回の記事をまとめると、

〇 炭水化物には白い炭水化物、茶色い炭水化物があって、茶色い炭水化物をとることが大事!
〇 茶色い炭水化物の不足は食事が原因となる病気の最も大きな原因の一つです。
〇 白い炭水化物を茶色い炭水化物に置き換える食生活を試してみましょう。

ということになります。

最後に紹介した大麦やミューズリーなどは個人的には美味しいと思っているので、我慢しないでも続けられるかなあと思いますが、食事は好みもありますし、長年続けてきた習慣を変えるというのは難しいので、続けられる方法を試してみることが大切だと思います

この記事が少しでも参考になったら嬉しいです。また、下記の記事がこの研究と少し関連がある、白米についてまとめた記事です。良かったら覗いてみてください。それでは。(2021/2/14修正)

参考文献

GBD 2017 Diet Collaborators, Lancet 393:1958-1972 (2019), Health effects of dietary risks in 195 countries, 1990–2017: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2017 LINK

  • この記事を書いた人

Pon

食品会社勤務の元企業研究員(PhD)。食の機能性研究、腸内細菌の研究をメインにしていました。興味関心は公衆衛生、疫学、食品の機能性。好きな食べ物はカレーと杏仁豆腐。コテンラジオ、キングダムが好きです。統計の専門家に憧れます。興味のある研究について、Xやブログで発信しています。

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