初めまして、こんにちは。この記事に興味を持ってくださりありがとうございます。
これまでの書いてきた記事の中で、食事で一番気をつけたい病気は、心血管疾患であること。そして日本人の食生活では塩分が一番影響が大きいことを、Lancet 393:1958-1972の研究を通して紹介させていただきました。
和食は健康的な食事ということで世界的にも注目されています。もちろん、魚介類をたくさん食べ、そして比較的低カロリーというのは健康的な一面です。しかし、塩分という点では味噌や醤油などの調味料、そして漬物など高塩分食になりがちという問題もあります。
国際的には1日当たり5 g未満を目指すようにWHOのガイドライン示されていますが、日本での食塩の目標摂取量は男性7.5 g未満、女性6.5 g未満が食事摂取基準で示されています。
この目標値を決めている根拠は、現状の我が国の食塩摂取量とWHOの基準値との違いがあまりに大きく、食文化等を考慮し、段階的に基準値を引き下げていくスタンスのためです。
さて、この記事では、塩分を下げる政策を行い、順調に成果を出しているイギリスの取り組みを紹介したいと思います。結論から言うと、イギリスでは、パンなど、小売商品の塩分量を下げるように政府主導で取り組み、結果として大きく食塩摂取量を減らすことができました。それでは本文のほうに入りたいと思います。
イギリスはもともとは日本と同じくらい食塩を摂取していた
]実はイギリスでも塩分摂取量が高く、心血管疾患による死亡が多かったそうです。2003年頃のイギリスで1日当たり10 gくらいで、今の日本と大体同じくらいかなと思います。
そのため、政府機関主導となり、減塩に取り組んだのですが、そこで重要だったことは、食塩は家庭で使われているのではなく、市販の食品を購入する時点で高すぎるという気づきでした。
例えばケチャップやスナック菓子などは分かりやすいんですが、それだけでなく、バターにも食塩が含まれていますし、パンにも食塩が含まれてしまいます。
特にパンで使用する食塩はわずかなように感じるかもしれませんが、パン自体の摂取量が多いので、結果として健康に大きく影響しますよね。
減塩政策による非感染性の病気の減少を日本とイギリスで比較
そこで、イギリスでは消費者に気づかれないように、市販の食品の減塩に、段階的に取り組んだそうです。下にその結果、非感染性の病気がどれだけ下がったのかをのせますね~。
これは、心血管疾患のデータではないのですが、非感染性(NCD)の病気による死亡の変化を示していますが、大部分は心血管疾患です。日本は元々すっごく健康なんですが、イギリスの追いかけ方、半端じゃないですよね。
ただ、実際に食塩を減らした影響かどうかははっきり分かりません。参考に、一番、非感染性の病気で一番大きい喫煙率がどれだけ動いているかも紹介します。
喫煙率の変化のグラフを見ると日本とイギリスでさほど大きな違いはなさそうですので、やっぱり、喫煙以外の影響が大きそうです。
食塩の影響なのかははっきりしませんが、それでも上のグラフくらい非感染性の疾患による死亡が減少したら、医療費への貢献もかなり大きかったのではないかなと思います。
ちなみにこのデータを2003年をベースラインにして、7年ごとの変化率を示すと下記のグラフのようになります。
このグラフを見ると、日本で非感染性の病気が減ったのは喫煙率が下がったからと言えそうですが、イギリスは他の要因もありそうですね。これが減塩政策の影響という可能性は大いにあると思います。
市販品の塩分がそもそも高いのが一番の問題
当たり前だと思うかもしれませんが、私は減塩と聞くと、まず思いつくのがラーメンのスープは全部飲まないとか、漬物の量は気を付けるなどになります。
でも、イギリスのように市販商品の段階で塩分を減らすアプローチを積極的に行えば、かなり効果が出そうですね。
日本で市販されているものだと、調味料とか漬物とかは相当塩分は高いので、ゆるやかに規制を入れてもよいのかもしれません。
もちろん減塩に力を入れることで、美味しくない商品が増えてしまうというのはぜったいに不幸なことだと思います。漬物業界や調味料業界は存在自体を否定しているようなものですので、食品メーカーに勤めている立場の私としては何とも言えないところではあります。
でも、イギリスのこの結果と、日本人の塩分摂取量の問題の大きさを考えると、こういった取り組みは日本でも必要なのかもしれないな~と感じました。
まとめ
はい、そんなわけで、本日の記事をまとめると、
① 日本と同じくらい塩分摂取量が高く、問題だったイギリスでは、購入した商品の塩分が既に高いという問題があった。
② イギリスでは、小売りしている食品の塩分濃度を下げた結果、非感染性の病気の減少につながった。
この2点になります。すこしでも参考になったらうれしいです。それでは。