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新仮説:新型コロナの致死率と3つの型

はじめまして、こんにちは。この記事に興味を持ってくださりありがとうございます。今回の記事では、注目されている新型コロナ関連の新しい仮説、

〇 新型コロナウィルスには3つの型がある。
〇 日本では異なる時期に流行しているため、日本人は集団免疫を獲得し、欧米と比べて低い死亡率を維持できている。

について、元の論文の図なども紹介しながら解説したいと思います。

集団免疫の大切さ

はじめに「集団免疫」という言葉について紹介したいと思います。集団免疫というのは、多くの人が免疫を持っていると、免疫を持っていない人も感染しにくくなることを言います。

一番よく知られているのはインフルエンザウィルスの予防接種かと思います。インフルエンザは予防接種をしても、20-30%くらいの人はかかってしまうという話もあります。

じゃあ予防接種しなくてもいいんじゃないか?という人に対して、個人レベルでは、予防接種を受けることで、インフルエンザにかかっても軽症ですむという話がされると思います。

個人レベルではこのメリットはとても大切ですが、公衆衛生の視点では集団免疫というのが予防接種の大きな目的です。できるだけたくさんの人がインフルエンザの予防接種を受けることで集団全体で感染しにくい環境を作るということです。

集団免疫すげ~!!と思ったことを紹介したいと思うのですが、友人の子供さんを預かっている保育園では、毎年11月までに子供に2回予防接種を受け終わらせなければ預かってもらえないという、親の側からすると、わりと厳しいきまりがあるそうです。

最初は大変だな~とも思ったのですが、その保育園の自慢は、インフルエンザで保育園のクラス閉鎖をしたことがないそうです。

うちの子供が通っていた保育園は、しょっちゅうクラス閉鎖になっていて、1年に1回くらいなら少ない方というレベルだったので、この話を聞いたときには、集団免疫の大切さを身にしみて感じました。

新型コロナ対策を考えるときに、医療崩壊、経済、精神疾患など様々な視点があると思います。様々な考え方があって、それぞれ大切だと思いますが、公衆衛生の視点で考えた時に重視する点は、まず、集団免疫があがるのかなと思います。

今回紹介する論文は、「日本、意外と集団免疫あるんじゃねぇ~?」という内容で、同時に新しい仮説を提唱している、とても刺激的な内容です。

コロナウィルスには3つの型があり、致死率に影響している

※図は論文から引用

今回の記事で参考にした論文は、京都大学と吉備国際大学の先生が発表した新仮説です。論文の情報は下記のとおりです。

Paradoxical dynamics of SARS-CoV-2 by herd immunity and antibody-dependent enhancement
Yasuhiko, Atsushi Takahashi, Cambridge open engage, DOI 10.33774/coe-2020-fsnb3

正直に言って、ちゃんと理解できていないところもありますし、本当??と思っているところもあるのですが、すごく興味深い論文なので紹介したいなと思い今回、記事にさせていただきました。

もし、もっとちゃんと知りたい場合には、直接論文を読んで頂いた方が良いと思います。

さて、具体的にどのような論文かと言いますと「新型コロナウィルスはS型、K型、G型という3つの型が存在し、各国の死者の違いはこのS、K、G型の種類によって説明ができる。」という新しい仮説なのです。

この論文に出てくる3つの型をまとめると下記のようになります。

特徴
S型(Sakigake〇 「いわゆるSARS-CoV-2」流行前の型。
〇 K型やG型に対する集団免疫を作っていた可能性がある。
〇 北海道、福岡、広島、長崎で2019年12月に流行していた。
K型(Kakure〇 いわゆるSARS-CoV-2。
〇 1月から2月頃に中国から広がった型。
〇 G型に対する集団免疫を作っていた可能性がある。
G型(Global〇 いわゆるSARS-CoV-2。
〇 欧米で流行している変異を経て致死性が高まった型。

なるほど。たしかに、このように大きく3つに分かれるというのはよく理解できます。中国・武漢で大流行が報道される前から感染症が少しずつ広がっていたというのは、ニュースなどでよく聞きます。

日本で特徴的なのは、3つの型のうち、K型の感染が多かった点が欧米と異なっていたのではないかというのがこの論文では考察としてあげられています。まさに武漢で大流行の真っ最中、武漢自体は封鎖されていましたが、春節で多くの中国人が武漢以外の地域から日本に来ました。

これによって日本ではK型が広まった可能性があるというのです。

G型は欧米で流行している、致死性が高まった型ですが、ウィルスの変異自体が欧米で起こっているかどうかは分かりません。

欧米では新型コロナウィルスに変異が起こり、致死率などが高くなっているというのはニュースで聞きますし、日本で流行しているコロナウィルスはおそらく、このG型ではないんだろうなという印象は多くの方が感覚的に持っていると思います。

ただ、このG型というのは、K型の集団免疫がつく前に、国内でもスポット的に流行していて、例をあげると愛知県でハワイから帰国した女性がスポーツジムでクラスターを形成してしまったというニュースがありましたが、この愛知県のクラスターはK型の集団免疫がない集団で発生したG型コロナウィルスだったため、愛知県の重症化率が高かったと考察されています。

仮説を提供した論文で、証明した論文ではない

ウイルスと戦う人のイラスト(白衣の女性)

この研究は説得力のあるデータをしっかりと用いて、ダイナミックな仮説を提案していて、読んでいてミステリー小説のように感じる面白い論文です。

今回紹介した以外にも、S型の流行を推定するために、インフルエンザの流行との関係を調べるなどの解析も行っていて「へぇ~」と思いました。

内容的には、むずかしくて分からない点も沢山ありますが、紹介して沢山の方に読んでもらいたいなと素直に思った論文です。

ですが、この研究については一見分かりやすいがゆえに、勘違いしやすいことがあります。それはS型、K型、G型がどの程度流行し、どの程度集団免疫がついていたのかについては、不明という点です。この論文で言えることは、

① S型の流行が見られた地域があり、そこではK型、G型の感染が低かった。
② G型の流行が早く来た地域があり、そこでは重症化率が高かった。

そしてこの2つから、K型の広がりが集団免疫の獲得そして、日本での致死率が低い水準に保てることができたのではないかという仮説の提供であり、仮説の証明ではないということです。

このミステリーをきれいに解き明かすような論文が出たらかっこいいなあと思います。

さいごに

リサーチのイラスト(束)

ここまで読んでくださりありがとうございました。最近はブログの記事を書くために新型コロナ関係の論文を読むことが多くなりましたが、難しくて頭が追いつきません。

でも、刺激的な論文ばかりで楽しいです。新型コロナウィルス関係は基本的にはオープンアクセスと言って、無料で公開されているということもとてもありがたく、わたしのように専門分野外の人でも最新の論文を読む機会が増えました。

今回の仮説はみなさんはどう思いましたか?わたしは否定的とまでは言いませんが、すこし違和感は感じました

そんなに集団免疫がつくほど春節で日本を訪れた中国人が短期間でK型を拡散させたというのが、そこまでは行かないんじゃないか??と思ったからです。

ですが、もしこの仮説が正しいのだとすれば、あの時に日本に来ないでほしいと思った中国人には来てくれてありがとう!と言わなければいけないのかもしれません。

そして、この研究は、この先、公衆衛生の専門家がどのようにして国内で集団免疫を作っていくのかを考えるうえで大きな示唆を与えたと思います。

最近ではAfterコロナといういい方よりもWithコロナのほうが多く聞かれるようになりました。そのような中で、今後、この論文がどのように取り上げられるのか、注目していきたいなと思います。

食品会社勤務の企業研究員。公衆衛生の講座に在籍する、社会人博士課程の大学院生でもあります。食の機能性研究、腸内細菌の研究に軸を置いています。興味関心は公衆衛生、疫学。統計の専門家に憧れます。興味のある研究について、Twitterやブログで発信しています。

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