健康 食事

糖尿病だけど甘いもの大好き そんな人には果物がおすすめ!

2020-05-06

はじめまして、会社員 兼 ブロガーのPonです。

糖尿病は予備軍も含めると2000万人。まさに国民病の一つと言われていますが、糖尿病の恐ろしさは、とにかく自覚症状の低さです。自覚症状が低いため、人によっては放置してしまいます。

そもそも糖尿病ってなんでダメなの?という教育も足りていないので、自覚症状がないだけでなく、自覚していても結局、危機感を持たないということが非常に多いです。

わたしが考える糖尿病の怖さというのは大きく下記の3点だと思います。

クリップボードに書き込む人のイラスト(男性医師)

① 重症化による慢性腎障害
糖尿病の最も重篤な合併症の一つとして、腎障害そして人工透析治療があります。透析は国の医療費を圧迫している病気の一つですが、透析を行っていると、治療の負担も大きい上に、平均余命も一般の人と比べると約半分程度と言われる、とても厳しい合併症です。
また、他に重度の糖尿病患者に起こる合併症としては、網膜症、神経障害があり、糖尿病の3大合併症と言われます。

② 大血管障害のリスク
糖尿病は心疾患や脳血管疾患など太い血管が関わる病気のリスクを高めます。これは、糖尿病によって血管の内部に炎症が起こることが原因と考えられますが、研究にもよりますが、このような大血管障害のリスクを1.5~2倍ほど上げることが分かっています。
これらの大血管障害は日本人の死因のなかでも特に大きく、がん(1位30%)に次いで死因の2位(心疾患15%)、3位(脳血管疾患10%)になります。

③ 認知症のリスク
「認知症になるなら死んだほうがいい!」という人がいるほど、認知症はなりたくないと思う人が多い病気です。ですが、糖尿病によって認知症のリスクが高まると言われており、認知症の中で最も多いアルツハイマー型認知症のリスクを約1.5倍上げることが分かっています。

このように糖尿病はわたしたちが認識している以上に恐ろしく、そして、身近にせまった病気なのです。今回の記事では、糖尿病を予防する食事について紹介をしたいと思います。

フルーツは糖分が多いのに糖尿病リスクを下げる

フルーツタルトのイラスト

みなさまはこのことをご存じでしたでしょうか?フルーツと聞くと、糖分が高く、糖尿病の人はできるだけ食べないように気をつけていると思います。

今回の記事で紹介する論文は下記のものとなります。

あくまでも糖尿病の予防効果(発症リスクを下げる)があるという話ですので、糖尿病の人がフルーツを食べて、治ると考えてしまうと間違いになってしまうのですが、どうしても甘いものが食べたいと思うこともあると思います。

そのようなときに、参考になるかもしれません。

Muraki I, Imamura F, Manson JE, Hu FB, Willett WC, van Dam RM, Sun Q. Fruit consumption and risk of type 2 diabetes: results from three prospective longitudinal cohort studies. BMJ. 2013 Aug 28;347:f5001

この論文は20万人弱の米国人を対象とした研究で、フルーツの摂取と糖尿病の発症の関係をまとめたものです。

この論文の結果として、まず、フルーツはトータルで2%ほど糖尿病のリスクを下げることが分かりました。

数字だけ見ると非常に小さな差ですし、日本人と欧米人は遺伝的にも糖尿病のなりやすさなどが異なると言われていますので、若干良いかもしれないというレベルにとどめるのが賢明かもしれません。

表 フルーツ別の糖尿病リスク

メロン +10% リスクを上げる
イチゴ +3% どちらとも言えない
オレンジ -1% どちらとも言えない
モモ・プラム・アンズ -3% どちらとも言えない
バナナ -5% リスクを下げる
グレープフルーツ -5% リスクを下げる
リンゴ・ナシ -7% リスクを下げる
プルーン -11% どちらとも言えない
ブドウ・レーズン -12% リスクを下げる
ブルーベリー -26% リスクを下げる
全ての果物 -2% リスクを下げる

次に、フルーツ別にまとめた結果が上記の表となりますが、メロン(ここではカンタロープという種)だけはリスクを上げていて、他の果物はリスクを下げるもしくはどちらとも言えないという結果です。

わたしが結果を見て感じたのは、ブルーベリー、ブドウ、プルーンなどのようにアントシアニンという紫系の色素が多く含まれているフルーツは糖尿病の予防効果が高そうだなと思いました。

オレンジやグレープフルーツなど柑橘系のフルーツは世界で最も消費量が多いと言われていますが、ちょっと効果が弱いかもしれないというのは残念だなと思いました。

プルーンは10%以上もリスクを下げているのに、バラつきがおおきく統計的には下げていると言い切れなかったのは、もしかしたら食べ方かもしれません。というのも、もしもアントシアニンが効いているんだとしたら、皮も一緒に食べる人と、果肉だけ食べる人では全然効果が違うだろうなと思ったからです。

皮には農薬などが残存しているのが気になるという人もいるかもしれませんが、本来は、できるだけ皮ごと食べたほうがいいんだろうなと思います。

また、農林水産省の分類では「くだもの」ではなく「やさい」とされるので、そもそもフルーツじゃないじゃん!と突っ込まれそうなメロンとイチゴが下位の2つだったというのは偶然なんでしょうか?わたしはすごく面白い結果だなと思いました。

フルーツジュースは糖尿病リスクを下げるの??

パックのオレンジジュースのイラスト

さて、フルーツを食べることが糖尿病に予防的に働くとしたらフルーツジュースはどうなんでしょうか?実は残念なことに、別の研究でフルーツジュースはコーラなどのような加糖飲料と比較すると影響力は小さいのですが、糖尿病のリスクを上げることが報告されています。

この理由について、「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」の中で著者の津川友介先生はフルーツジュースは加工の段階で繊維質などを取り除いてしまっているからではないかと考察をしています。この説明はとても納得の内容で、飲料メーカーは果肉などのような繊維質が飲料に残っているとクレームの原因にもなりますし、ペットボトルに充填する機械の目詰まりを起こしてしまうので、徹底的に除去しています。ある意味では、このろ過の精度が品質の高さを表しているのですが、残念ながら果物の栄養を取り除いてしまっているかもしれません。付け加えると、そもそもフルーツジュースの多くがオレンジ、リンゴなどになると思うので、そのまま食べた場合でも効果はマイルドなフルーツが多いかもしれないです。

また、わたしがアントシアニンがいいかもしれないと書かせていただきましたが、実はこのアントシアニンは水に溶けやすい成分ですので、フルーツジュースにも比較的のこりやすいと思います。

ですのでもしかしたらブドウジュースとかは比較的オススメかもしれませんが、ブドウ自体が糖分が高めのフルーツなので自信をもっておすすめできるかというとそうでもないです。やっぱりフルーツの形態で食べたほうが良いと思います。

まとめ

リサーチのイラスト(束)

さいごまで読んでくださりありがとうございました。

今回はBMJという雑誌の論文を紹介しましたが、実は、後半に少し触れましたが、UCLAの津川友介先生の著書「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」で紹介されている内容を参考に、論文の原文を確認して再編集した記事になります。

この津川先生の書籍はめちゃくちゃおすすめです。わたしは仕事柄、書店でお医者さんや管理栄養士の先生方か書いている書籍をチェックしますが、否定するつもりはありませんが、多くの書籍で個人的な見解をまるで栄養疫学のスタンダードかのように述べたり、科学的に証明されていない個人の意見を絶対的に正しいかのように書いています。

津川先生の書籍は、全く逆でどちらかというと保守的です。

でも食事とは言っても、健康を扱うのであれば、それは命にかかわることだと思っています。だからいい加減な記事や書籍は絶対にいけないというのがわたしの考えです。そういう書籍を探しているという方にはぴったりだと思います。よかったら読んでみてください!

  • この記事を書いた人

Pon

食品会社勤務の元企業研究員(PhD)。食の機能性研究、腸内細菌の研究をメインにしていました。興味関心は公衆衛生、疫学、食品の機能性。好きな食べ物はカレーと杏仁豆腐。コテンラジオ、キングダムが好きです。統計の専門家に憧れます。興味のある研究について、Xやブログで発信しています。

-健康, 食事

© 2022 Pon Powered by AFFINGER5