健康 食事

食物アレルギーの予防には食べたほうがいいの?避けた方がいいの?

こんにちは。アレルギーに悩む方は多いと思いますが、特に子供が小さい家庭などでは、すごく気を遣うのが食事ではないかと思います。

先日、喘息などのアレルギー発症には衛生仮説というものがあることを紹介させていただきました。

https://ponlab.info/2020/07/27/%e3%82%a2%e3%83%ac%e3%83%ab%e3%82%ae%e3%83%bc%e3%81%ae%e7%99%ba%e7%97%87%e3%81%af%e3%82%ad%e3%83%ac%e3%82%a4%e3%81%99%e3%81%8e%e3%82%8b%e3%81%93%e3%81%a8%ef%bc%9f%e8%a1%9b%e7%94%9f%e4%bb%ae%e8%aa%ac/

今日の記事では食物アレルギーに焦点を当てて書いていこうと思います。

私の家庭がそうだったのですが、子供が小さいときにはアレルゲンとなる食材は食べさせないように気をつけている家庭は多いのではないでしょうか?今回の記事では、アレルゲンを避けることが正しいのかどうか、エビデンスを紹介したいと思います。

食物アレルギーの特定原材料について

エビデンスを紹介する前に、簡単に食物アレルギーにどんなものがあるのかを紹介したいと思います。

上のイラストには、食品包材でアレルギー表示が義務付けられている7品目の食材(特定原材料といいます)と推奨されている21品目(特定原材料に順ずるものといいます)をのせました(2020年7月現在)。

基本的に食品メーカーは義務表示のものはもちろん表示をしますが、推奨と言われている21品目についても、パッケージの余白の問題などが無ければほとんどの場合、記載されていると思います。

加工食品の場合には、原材料表示が義務付けられていますが、アレルゲンについても基本的には原材料表示を見ることで確認ができます。

ちなみに、材料として入っているだけでなく、同一のラインでアレルゲンが使用される場合や、魚がエビを食べている可能性がある場合などコンタミネーション表記などを行うこともあります。

どこまで細かく記載するかは会社によって異なりますが、詳しく書いていない場合には、悪意があってというよりは、

  • 委託先で使用する原材料が頻繁に変わってしまうので、どうしても都度対応ができない。
  • 情報過多になると、フォントサイズが小さくなってしまうため対応できない。

など、致し方ない事情がある中で、折り合いをつけるのが難しいこともあります。

特定原材料7品目(表示の義務あり)

卵、乳、小麦、えび、かに、落花生、そば

特定原材料に準ずるもの21品目(表示が推奨されている)

アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン

アトピーの予防に、アレルゲンを食べないのが良いとは言えない

子供のときの接触頻度とアレルギー発症は関係ない?

参考文献2を改変引用

それでは、実際に子供が小さいときにはアレルゲンとなる食材を食べるのと、避けるの、どちらが正しいのかについていくつかエビデンスを紹介したいと思います。

上の図は参考文献2のデータですが、この研究では小さい頃のピーナッツを食べる回数、そして、ピーナッツアレルギーの割合を、イスラエル在住のユダヤ人とイギリス在住のユダヤ人の子供で比較しています

結果を見ると明らかなのですが、イスラエルの子供たちは生後8~14ヵ月と非常に小さいときからピーナッツを月に8回も食べているにもかかわらず、ピーナッツアレルギーの割合が低いんです。

この研究は横断研究なので、衛生仮説などのように、他の理由が関わっている可能性もありますが、少なくとも、子供が小さいときにピーナッツを食べていることがアレルギー発症につながるということは、数字から考えると可能性は低そうだなと思います

お母さんは妊娠期や授乳期の間はアレルゲン摂取は避けたほうが良いの?

参考文献3より改変引用

次に、よく親がアレルギー体質の場合には、妊娠中や授乳期間中に、母親がアレルゲンとなる食品を食べないように気をつけることがあります。

これについては、コクランレビューといって、メタアナリシス(複数の論文を統合して評価する研究)の中でもゴールドスタンダードとなっている研究の中で報告がされています。

その結果が上の図になるのですが、どうも報告されている研究によって結果のばらつきが大きいようなのですが、卵アレルギーも乳アレルギーも母親が食べることを避けても、子供のアレルギー発症には影響していないようです。

結局どっちなんだろうと、悩ましい所ではあるのですが、どちらとも言えないというのが結論なのかなと私は思っています。

まとめ

ここまで読んでくださりありがとうございます。今日の記事をまとめると、

  • 食物アレルギーについては、特定原材料、特定原材料に準ずるものがあるので参考にしてください。
  • 子供が小さいときに食べたからと言って、食物アレルギーが増加するとは限らないようです。
  • 母親が妊娠中や授乳期に食べたからと言って、子供の食物アレルギーが増加するとは限らないようです。

ということで、ちょっと煮え切らない所もありますが、食物アレルギー発症が怖いので食べさせないというのはあまり意味はないかもしれません。もちろん、発症した後は、適切な対応が必要です。

じゃあ、どうしたら食物アレルギーにならないようにできるのか?については、この記事の中で明確な回答はできませんが、思い込みでアレルゲンに触れさせないよりは、慎重に観察しながら少しずつ食べさせたりしてもいいんじゃないかな~というのは感じました。

まあ、そうは言っても、ピーナッツや甲殻類、そばなどは発症した場合には非常に危険ですし、卵や小麦、乳などと比べて生活に支障が出ることも少ないと思うので、こういった情報を知ったうえで、避けるように判断するというのも、良いのではないかなと思います。

それでは。

参考文献

  1. 樺島重憲, 卵アレルギーの発症予防ー見えてきた道筋ー, 日本食品科学工学会誌65(6), 320-324, 2018 LINK
  2. Du Toit, et al (2008). Early consumption of peanuts in infancy is associated with a low prevalence of peanut allergy. Journal of Allergy and Clincal Immunology, 122, 984‒991. LINK
  3. Kramer MS, Kakuma R. Maternal dietary antigen avoidance during pregnancy or lactation, or both, for preventing or treating atopic disease in the child. Cochrane Database Syst Rev. 2012;2012(9):CD000133. Published 2012 Sep 12. doi:10.1002/14651858.CD000133.pub3 LINK
  • この記事を書いた人

Pon

食品会社勤務の元企業研究員(PhD)。食の機能性研究、腸内細菌の研究をメインにしていました。興味関心は公衆衛生、疫学、食品の機能性。好きな食べ物はカレーと杏仁豆腐。コテンラジオ、キングダムが好きです。統計の専門家に憧れます。興味のある研究について、Xやブログで発信しています。

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