健康,  腸内環境

抗生物質と腸内環境の関係

こんにちは。今日の記事は抗生物質と腸内細菌についてです。抗生物質は私たちの生活に欠かせないものですが、その過剰摂取は逆に必要な細菌まで減らしてしまうことは良く知られていると思います。

この記事では、そんな抗生物質が腸内細菌にどのような影響を与えるかを紹介したいと思います。

抗生物質は腸内細菌を大きく変化させる

参考文献1より改変引用

はじめに上のグラフを紹介したいと思います。この研究は2つの抗生物質を投与した中高年の集団の腸内細菌を調べた研究です。

抗生物質を投与する前に比べて、投与後に多様性が下がっていますね。ただ、シプロフロキサシンとST合成薬では同じ抗生物質とは言っても必ずしも同じではなく、シプロフロキサシンは投与後に多様性が下がり続けているのに対して、ST合成薬では門レベルでは多様性が下がっていますが、種レベルで見ると投与終了あたりで回復しています。

抗生物質投与のポイントは2つあって、

  1. 投与後に多様性が下がる
  2. その後、多様性指数は回復しているようにみえるが、多くの場合、種レベル、属レベルでみると、違う組成になっています

つまり、上で紹介した研究では多様性指数だけ見ると腸内細菌叢(そう)は回復しているように見えるけれど、中の構成まで見ると違っているかもよ~と言うことですね。

こういうことは通常ではほとんど起こらないので、抗生物質の力はすごいです。

抗生物質はからだにどんな影響を与えるの?

肥満の原因となる可能性があります!

じゃあ、腸内細菌叢(そう)が変わったのは分かったけど、具体的に抗生物質って健康にどんな影響を与えるの?って言うことをいくつか紹介したいと思います。

一つ目は太るかもしれません。別の記事でも紹介しましたが、畜産農家にとっては、抗生物質を与えると、牛や豚が太るというのは常識みたいですね。

で、人間でも同じような報告があって、乳幼児に抗生物質を与えると、その後のBMIが増加したという報告があるようです(参考文献2)、ただし、この研究に対しては、一致しない報告もあり(参考文献3など)、必ずしも正しいかは分かりません。

でも、動物では常識というレベルなので、私たちにとっても何かしら影響はあると考えたほうが自然かな~と思いますね。

喘息などのアレルギーの発症に影響する!

他には、喘息などのアレルギー発症が増加するという報告もあるようです(参考文献4)。

腸には免疫細胞が集中していることからも、このようなことが起こるというのは十分考えられますね。しかも、この論文を見ると、リスクが1.7倍も上がったとあります。

1.7倍というのは、ちょっと関係があるかな~のレベルではないです。かなり大きなリスクだと思った方が良いです。

まとめ

今回の記事をまとめると、

  1. 抗生物質は腸内細菌の多様性を下げます
  2. 下がった多様性指数は戻りますが、細菌の種類は変わることがあります
  3. 抗生物質によって、肥満やアレルギーなどのリスクが上がるかもしれません

となります。風邪などをひいて抗生物質が処方されることは珍しいことではないと思います。お医者さんも抗生物質のデメリットを知ったうえで処方しているので、処方されたときには、途中で止めることなく、しっかりと使うことが大切です。

ですが、このように腸に対してはデメリットとなることもありますので、例えばヨーグルトなどの発酵食品や食物繊維が多い食材を意識的にとり、腸内細菌叢(そう)が回復するように、そして、できることなら良い腸内環境になるように意識をすると良いのではないかなあと思います。

参考文献

  1. Distinct impact of antibiotics on the gut microbiome and resistome: a longitudinal multicenter cohort study. Matthias Willmann, Maria J. G. T. Vehreschild, Lena M. Biehl, Wichard Vogel, Daniela Dörfel, Axel Hamprecht, Harald Seifert, Ingo B. Autenrieth & Silke Peter. BMC Biology volume 17, Article number: 76 (2019) LINK
  2. Infant antibiotic exposures and early-life body mass. L Trasande, J Blustein, M Liu, E Corwin, L M Cox & M J Blaser, International Journal of Obesity volume 37, 16–23 (2013) LINK
  3. EClinicalMedicine, 2019 Nov 27;17:100209. doi: 10.1016/j.eclinm.2019.10.020. eCollection 2019 Dec. Antibiotic Exposure in Infancy and Development of BMI and Body Composition in Childhood Tobias Steen Sejersen, Rebecca Kofod Vinding, Jakob Stokholm, Bo Chawes, Klaus Bønnelykke, Martin Krakauer, Hans Bisgaard LINK
  4. Antibiotic Exposure in the First Two Years of Life and Development of Asthma and Other Allergic Diseases by 7.5 yr: A Dose-Dependent Relationship Hoskin-Parr L, Teyhan A, Blocker A, Henderson AJ. Pediatr Allergy Immunol. 2013;24(8):762–771 LINK

食品会社勤務の企業研究員。公衆衛生の講座に在籍する、社会人博士課程の大学院生でもあります。食の機能性研究、腸内細菌の研究に軸を置いています。興味関心は公衆衛生、疫学。統計の専門家に憧れます。興味のある研究について、Twitterやブログで発信しています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。