健康 食事

死につながる15の食事をランク付けした必読論文を紹介

2020-05-07

はじめまして。こんにちは。この記事に興味を持ってくださりありがとうございます。

この記事では、どのような食生活がわたしたちの寿命を短くしているかを、195か国の食事調査をもとにランク付けした、論文を紹介したいと思います。

結論から申し上げると、「全粒穀物の不足」「食塩のとりすぎ」「フルーツの不足」の3つがものすごく大事です。この3つの項目をしっかりと意識して食事を見直すことで、食生活が原因の病気のリスクを大きく下げることができます。

それでは、この記事の中で丁寧に紹介をしたいと思います。

この研究のすごいところは研究の規模と信頼性

それでは、早速研究を紹介したいと思います。この記事で紹介する論文は、

GBD 2017 Diet Collaborators. Health effects of dietary risks in 195 countries, 1990-2017: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2017. Lancet. 2019 May 11;393(10184):1958-1972

という論文です。この研究はGBD study groupという1800名近くの研究者が関わっている、大きな研究です。今回紹介する論文では食生活を評価していますが、さまざまな病気や暴露因子について世界レベルで評価しています。

とくにこの研究では、はじめに病気に影響する15の食事要因をピックアップしているのですが、この15項目をピックアップするだけでも途方もないレベルの研究を行っています。

はじめに病気の原因となる影響が大きい15の食事因子を紹介したいと思います。またそれぞれの食事因子について、適切な摂取量も記載します。

良い食材6つ フルーツ 250 g (200-300 g)
  野菜 360 g (290-430 g)
  豆類 60 g (50-70 g)
  全粒穀物 125 g (100-150 g)
  ナッツ・種子類 21 g (16-25 g)
  乳製品 435 g (350-520 g)
悪い食材3つ 赤肉 23 g (18-27 g)
  加工肉 2 g (0-4 g)
  加糖飲料 3 g (0-5 g)
良い栄養成分4つ 食物繊維 24 g (19-28 g)
  カルシウム 1.25 g (1.0-1.5 g)
  魚由来ω-3系脂肪酸 250 mg (200-300 mg)
  多価不飽和脂肪酸 11% (9-13%) カロリー比
悪い栄養成分2つ トランス脂肪酸 0.5% (0-1%) カロリー比
  食塩 3 g (1-5 g)

すごいデータですよね。一つ一つの項目が、メタアナリシスという、いくつもの論文を評価して決めたデータです。

良い食材・栄養素は不足しているとさまざまな病気のリスクが上がり、悪い食材・栄養素は過剰に摂取したときにさまざまな病気のリスクが上がります。この病気のリスクと実際の国別の摂取量から195か国のトータルの死亡につながる食事要因をランキングにしているという、ものすごくおもしろい研究です。

DALY(障害調整生存年)ってなに?

医療チーム・医療従事者のイラスト

次に、このランキング結果を紹介する前に、DALY(ダリ)という評価指標を紹介したいと思います。

この論文では単純な死亡数とDALY(日本語では障害調整生存年)という指標の2つの結果を示していますが、このDALYというのは、「早く亡くなったことによって失われた期間(YLL)」と「障害などにより失われた期間(YDL)」を足した期間です。

障害などにより失われた期間というのは単純な期間ではなく、障害の重さによって係数がかかっています。このDALYという指標は、パッと聞くと分かりにくい感じはあるのですが、単純に死亡数で考えるよりも、医療政策などを考えるときには参考にすることが多いそうです。

たしかにピンピンコロリなんていう言葉がありますが、死亡率をさげるだけでなく、障害を抱えないようにすることも医療政策には必要ですよね。ということで、WHOや世界銀行などではこのDALYという指標を使用しています。

つぎに、今回紹介するメインの結果を、以下のグラフの通り紹介します。

このグラフに示したのが、世界195か国のDALYの合計です。赤い字が悪い食事項目で、青い字が良い項目です。また、棒グラフの塗りつぶしている色は心血管疾患、Ⅱ型糖尿病、がんを示してあります。

DALYの合計という数字はあまりピンとこないかもしれませんが、全てのDALYのうち15%が上の15項目の食事因子によるそうです。

15%というのを重く考えるのか、軽く考えるのかは人によるところなのかなあと思いますが、食事というのは、外部環境の要因は少なく、ある程度は日ごろの健康意識でコントロールすることができます。

そう考えると対策が可能なDALYが15%もあると前向きにとらえると良いのかなと思います。

ポイントは全粒穀物、食塩、フルーツの3つそして心血管疾患が大事!

元気な心臓のキャラクター

この結果のポイントはどんな要因の影響が大きかったのか?とどんな病気がDALYに影響したのかの2点だと思いますが、グラフの結果を見ると分かる通り、とにかく心血管疾患の影響が大きいというのが1つ目の大事なポイントです。

そして、2つめのポイントは全粒穀物、食塩、フルーツの3項目でなんと食べ物が影響するDALYのうち50%を超えてしまうそうです。この3項目、一つ一つ大事なポイントがあると思うのですが、

①全粒穀物

全粒穀物は主食として食べるので、食べる絶対量が多いです。絶対量が多いことに加え、全粒穀物をたべない人は健康に悪いとされる白米や小麦粉などの「白い炭水化物」を食べている可能性が高いので、悪い食材と良い食材の置き換え効果もあり、健康への影響も自然に大きくなります。

②食塩

食塩のポイントは、日本人にとって、大きな課題であるという点です。日本人は世界の中でも特に食塩の摂取量が高い国の一つで、どうしても和食では漬物、味噌、醤油などの影響で塩分摂取量が高くなってしまいます。
これが和食を健康と自信をもって言えない一番大きな要因だと思います。みなさま、和食を食べる際には塩分の摂りすぎにならないように、注意するようにしましょう。

③フルーツ

さいごにフルーツですが、実はフルーツも日本人にとっては課題です。というのも日本では海外と比較してフルーツの市場価格が高く、一般的には高級食材です。
一人暮らしの人などは、気軽に買える値段ではないと思います。ですのでフルーツは日本人では不足しがちですし、所得など、社会経済学的要因の影響も出やすいです。
また、健康な食事と考えた時に、野菜が大事だと思っている人は多いと思いますが、公衆衛生的に考えると、野菜よりもフルーツを意識して摂取した方が良いというのは意外だったのではないでしょうか。

まとめ

集まった家族のイラスト(アジア人)

さいごまで読んでくださりありがとうございました。

今回紹介した論文は超大作で、考え出すといろいろな視点がでてくるので、ここでとどめたいと思いますが、また別の機会に他の記事も上げていきたいなと思います。

さて、この記事のポイントをまとめると下記になります。

・食事によるDALY(障害や早死になどで失う期間)は心血管疾患が多い。
・食事の因子では「全粒穀物」「食塩」「フルーツ」が大事。

また、この記事で活用したDALYという指標は少し分かりにくい点もありますが、単純な死亡リスクよりも、障害などによる損失時間を考慮しているため、医療政策などを考える際には都合がよい指標になっています。

WHOや世界銀行などで利用されている評価指標ですので、参考になればと思います。

参考文献

GBD 2017 Diet Collaborators. Health effects of dietary risks in 195 countries, 1990-2017: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2017. Lancet. 2019 May 11;393(10184):1958-1972

  • この記事を書いた人

Pon

食品会社勤務の元企業研究員(PhD)。食の機能性研究、腸内細菌の研究をメインにしていました。興味関心は公衆衛生、疫学、食品の機能性。好きな食べ物はカレーと杏仁豆腐。コテンラジオ、キングダムが好きです。統計の専門家に憧れます。興味のある研究について、Xやブログで発信しています。

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