健康,  食事

ベジファースト:食べる順番を工夫すると糖の吸収をおだやかにする

はじめに

こんにちは。この記事に興味を持ってくださり、ありがとうございます。今日はベジファースト(ベジタブル・ファースト)を紹介したいと思います。ベジファーストつまり、ベジタブルを一番最初に食べるということなんですが、これは日経ヘルスなどで取り上げられ、ヘルスケアのキーワードとしてたちまち市民権を得たんじゃないかなと思います。

では、なんでベジタブル(野菜)を最初に食べるといいんでしょうか?結論から言うと、糖の吸収をゆるやかにするからなんですが、この記事では、そのメカニズムや、具体的な研究結果を紹介したいと思います

この記事のポイント

  • 野菜を先に食べてから炭水化物を食べると、糖の吸収がゆるやかになります。
  • その理由は、満腹感があるときに炭水化物を食べているからです。

この記事を書いているわたしは、食品会社の企業研究員で機能性研究などをしています。博士課程の大学院生でもあり、大学では病気の原因を研究する疫学の研究室に在籍しています。

ベジファーストについて

それでは早速ベジファーストについて紹介したいと思います。そのまんまですが、ベジファーストというのはベジタブル・ファースト。つまり、一番最初に野菜を食べましょう!という意味の言葉です

これは血糖コントロールにおいては、とっても合理的な話で、野菜に含まれている食物繊維の効果で、食事の糖の吸収をおだやかにしてくれるのです。炭水化物を食べた後の血糖値のピークをおさえる、というのは健康管理の上では非常に重要なことですね。

では、なんで食物繊維を先に食べると糖の吸収が穏やかになるのかを次に説明したいと思います。

食物繊維は先に食べると、満腹感によって糖の吸収を抑える

まず、大前提として、食物繊維には糖の吸収を穏やかにする機能があります。ですので、今回紹介したように野菜を「先」に食べていなかったとしても、糖質と「一緒」に食べる場合でも血糖値は上がりにくくなります

これだけでも、やっぱり食物繊維は大事だなと思うのですが、事前に食物繊維をとることでさらに糖の吸収が穏やかになります。その理由として説明できることには下記のようなメカニズムが考えられます。

  • 野菜を食べることで満腹感を感じ、糖の吸収が下がるから
  • 野菜を食べることで、血糖値を下げるホルモンのインスリンが分泌されたから

1つ目の満腹感は栄養吸収においてはとても大事なポイントです。空腹のときに食べ物を食べると、急激に栄養を吸収しますよね!飢餓状態なので、できるだけ栄養をカラダに取り込みたいと考えるのは良く分かります。

ですので、糖の吸収を穏やかにしたいのであれば、逆に少し満腹感を感じさせれば良いという理屈です

2つ目の、インスリン分泌ですが、これも1つ目と部分的には重なるのですが、インスリンは血糖値を下げるホルモンです。ですので糖質を食べるとインスリンが分泌されますが、野菜にも糖質が含まれています

つまり、最初に野菜を食べると、炭水化物ほどでは無いけれど、インスリンは分泌して、糖質を食べるときには、分泌されたインスリンの影響で糖の吸収が穏やかになるということなのです。

他にもメカニズムは考えられなくもないですが、ダイナミックに効いてそうなのはこの2つかなと思います。

ただ、この2つの説明は、ベジファーストのメカニズムを一部説明できますが、明確に論文などで完全に説明されているわけではないのでご了承ください。一般的に言われていることなどから、論理的に説明したら、こんな感じなのかな~というところです。

次に具体的に論文から、ベジファーストのエビデンスを紹介したいと思います。

5分前に野菜を食べると血糖値が改善する

参考文献を改変引用

今回紹介するのは、大阪府立大学、京都府立医科大学などの研究グループの論文です。この論文の著者の一人、京都府立医科大学の福井先生は糖尿病食事療法のインフルエンサーの先生です。

この研究では野菜、炭水化物という順番と、炭水化物、野菜という順番で食後3時間の血糖値の上昇を比較しています。上のイラストでは注射をしていますが、実際には何回も注射をしているわけではなく、CGMと言って血糖をモニタリングする機器をつけています。

上の画像の右の図に結果の一部をグラフで示していますが、糖尿病患者のデータでは朝、昼、夕食後とどれを見ても野菜を先に食べているときの方が食後3時間の血糖値が低いです。かなりキレイな結果ですね~。この時の研究では炭水化物と野菜の間に5分くらい時間を空けているのと、1日に500グラムの野菜を食べています。研究とはいえ、現実にも即したデザインになっている点がすごくいいなと思いました。

そして、全く同じものを食べていてこの結果は衝撃的ではないですか?

食後高血糖は確かに病的なレベルでなければそこまで気にする必要はないのかもしれませんが、一部の研究では、一日中高血糖なタイプの糖尿病患者よりも、食後に高血糖になる糖尿病患者のほうが、血管の大血管障害やその後の死亡のリスクも高いなど、重要な項目と考えられています参考記事)。

個人的には、食後の高血糖は健康な方も含め気をつける必要があるのかなと思っています。

まとめ

ここまで読んで下さり、ありがとうございました。

この記事ではベジファーストという概念を紹介しましたが、全く同じものを食べていても、順番を変えるだけでこれだけ糖の吸収が変わるのなら、できるだけ意識しようと思いませんか?

こういったことを知ると、本当に知識って大事だなあと思います。だって、おいしいものを食べるのをやめろっていうのは辛いですが、順番を変えるだけだったら、たいていの人は受け入れられますからね。

最後に、京都府立医大の福井先生の講演の質疑で、本当に順番を変えるだけでいいのか?野菜を食べた直後に糖質とったら、先とは言っても実質的に同時にならないのか?という質問があったんですが、福井先生は、

  • 直後に糖質を食べる場合は、ほとんどベジファーストの効果はない。
  • この研究では5分の間隔を置いていて、望ましくは5~15分間開けるのが良い。

と答えていた記憶があります(ちょっとはっきり覚えていません)。私の感覚でも、ベジファーストの研究は15分くらい間をしっかり開けているイメージがあります。ですので、このベジファーストをしっかりと取り入れたいという方は、十分な量の野菜を食べて、少し時間を空けてから主食を食べるということを意識することが大切だということを最後に付け加えたいと思います。

すこしでも参考にしていただけたら、うれしいです。それでは。

参考文献

Imai S, Fukui M, Ozasa N, et al. Eating vegetables before carbohydrates improves postprandial glucose excursions. Diabet Med. 2013;30(3):370-372. doi:10.1111/dme.12073 LINK

食品会社勤務の企業研究員。公衆衛生の講座に在籍する、社会人博士課程の大学院生でもあります。食の機能性研究、腸内細菌の研究に軸を置いています。興味関心は公衆衛生、疫学。統計の専門家に憧れます。興味のある研究について、Twitterやブログで発信しています。