健康,  時事ネタ

ファイザーの新型コロナワクチンの安全性・有効性のまとめ

初めに

こんにちは、この記事に興味を持ってくださりありがとうございます。新型コロナウィルスのワクチン接種のスタートが間近となり、ワクチン接種への期待とともに、不安をいだいている方も多いと思います。

この記事は、そのような方のために、ファイザー社のワクチンの臨床研究結果を、特に安全性試験(有効性も少し触れます)のデータをまとめました

内容は、ファイザー社が発表した臨床試験結果の論文を引用しています。少しでも参考になり、安心してワクチンを接種する方が増えることを祈っています。

この記事のポイント

  • ワクチン接種による軽微な副反応(腫れなど局部的な痛みや頭痛などの全身の痛み)は普通にあると考えてよいです。
  • その一方で、重篤な副反応は見られません。また、数日で多くの副反応は回復します。
  • 2回接種した後の有効性は95%で、重症化予防に対しては、1回の摂取で約80%の有効性でした。
Pon(ブロガー/会社員/社会人大学院生)
この記事を書いているわたしは、食品会社で機能性の研究などをしている企業研究員ですが、社会人大学院生として大学で疫学(病気の原因を調べる学問)を学んでいる学生でもあります(詳しいプロフィールはこちら)。

ファイザー社ワクチン臨床研究の概要

ファイザー社のワクチン接種試験は米国を中心に約3万人規模で行われた非常に大きな臨床試験です。試験デザインはプラセボ(生理食塩水)またはワクチン(BNT162b2 30μg)を接種してもらい、それぞれのグループでのCOVID-19発症割合を比較するという試験になります。概要をまとめると下記のような感じです。

【試験デザイン】二重盲検化ランダム化比較試験
【セッティング(国)】米国など6ヶ国
【人数】37,706人(ワクチン:18,860人、プラセボ:18,846人)
【介入(試験群)】ワクチン(BNT16b2 30μg)を2回接種(3週の間隔)
【介入(対照群)】プラセボ(生理食塩水)を2回接種(3週の間隔)
【対象者の特性】16歳以下、重篤な免疫疾患以外の制限は特になし

プラセボ群、ワクチン群の割付は無作為に行っており、試験参加者、医療スタッフともに中身がプラセボなのか、ワクチンなのか分からないようにマスクされています。ただ、結果を見ると分かりますが、医療スタッフは接種後の副反応がワクチン群が明らかに多いので、試験をしながら、多分こっちがワクチンだな~とは感じていると思います。

ワクチンもプラセボも21日後(3週間後)に2回目の投与を行っています。試験参加者の健康状態は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス感染症、その他の慢性疾患の有無を問わず実施されましたが、疾病の状態が安定している方に限定しています。

主な除外基準(試験に参加できない人)には、16歳未満、Covid-19の病歴がある人、免疫抑制療法による治療歴がある人、免疫低下状態の診断がある人などが含まれていました。つまり、免疫関連の重篤な疾病を抱えている人以外は、基本的に全ての成人にこの試験結果は適応できると考えてよいと思います。一応、下記にこの試験に参加した方の属性をまとめましたので参照してください。

特性ワクチンプラセボ合計
特性18,860人18,846人37,706人
男性 人数(%)9,639 (51.1)9,436 (50.1)19,075 (50.6)
女性 人数(%)9,221 (48.9)9,410 (49.9)18,631 (49.4)
白人 人数(%)15,636 (82.9)15,630 (82.9)31,266 (82.9)
アフリカ系黒人 人数(%)1,729 (9.2)1,763 (9.4)3,492 (9.3)
アジア人 人数(%)801 (4.2)807 (4.3)1,608 (4.3)
ネイティブアメリカン 人数(%)102 (0.5)99 (0.5)201 (0.5)
ハワイ・太平洋諸国 人数(%)50 (0.3)26 (0.1)76 (0.2)
混血 人数(%)449 (2.4)406 (2.2)855 (2.3)
報告なし 人数(%)93 (0.5)115 (0.6)208 (0.6)
ラテン・ヒスパニック 人数(%)5,266 (27.9)5,277 (28.0)10,543 (28.0)
アルゼンチン 人数(%)2,883 (15.3)2,881 (15.3)5,764 (15.3)
ブラジル 人数(%)1,145 (6.1)1,139 (6.0)2,284 (6.1)
南アフリカ 人数(%)372 (2.0)372 (2.0)744 (2.0)
米国 人数(%)14,460 (76.7)14,454 (76.7)28,914 (76.7)
16-55歳 人数(%)10,889 (57.7)10,896 (57.8)21,785 (57.8)
56歳以上 人数(%)7,971 (42.3)7,950 (42.2)15,921 (42.2)
年齢の中央値52.052.052.0
年齢の範囲16–8916–9116–91
≥30.0: 肥満 人数(%)6,556 (34.8)6,662 (35.3)13,218 (35.1)

期間は2020年の7/27~11/14、実施機関は世界で152施設(米国130、アルゼンチン1、ブラジル2、南アフリカ4、ドイツ6、トルコ9)

それでは、この試験結果に入りたいと思います。

ファイザー社ワクチン接種後の局所反応

まずは、ワクチン接種後の副反応の中でも局所反応です。局所反応というのは、針刺し箇所とその周辺の痛みや腫れなどのことを言います。

論文では図になっていましたが、下記の表でまとめました。注射部位の痛みは約8割の方が感じますが、これは筋肉注射になるので、妥当かと思います。合わせてそれほど多くはありませんが、赤みや腫れも発生していますね。

ですが、重篤な局所反応は無く、ほとんどの痛みも1~2日で回復に向かったとのことです。

ワクチンプラセボ
注射部位の痛み
 16-55歳 1回目
 16-55歳 2回目
 56歳以上 1回目
 56歳以上 2回目

83%
78%
71%
66%

14%
12%
9%
8%
注射部位の赤み
 16-55歳 1回目
 16-55歳 2回目
 56歳以上 1回目
 56歳以上 2回目

5%
6%
5%
7%

1%
1%
1%
1%
注射部位の腫れ
 16-55歳 1回目
 16-55歳 2回目
 56歳以上 1回目
 56歳以上 2回目

6%
6%
7%
7%

0%
0%
1%
1%

局所反応のポイント

  • ワクチン接種後7日以内の注射部位での軽度から中等度の痛みは多かったです。
  • 軽度から中等度の痛みのほとんどは1日~2日以内に回復に向かいました。
  • 激しい痛みを報告した参加者は全ての年齢層で1%未満でした。
  • 56歳以上の参加者のほうが痛みの報告は少なかったです。
  • 低い割合ですが注射部位の赤みや腫れが報告されました。

ファイザー社ワクチン接種後の全身反応

次にワクチン接種後の副反応のうち全身反応となります。こちらについては、まず大事になってくるのが、局所反応と比べると比較的重度の全身反応が見られております。また、その割合も発熱、疲労感、頭痛、悪寒、筋肉痛などにまんべんなく起こっていました。ただし、局所反応のうち注射部位の痛みは約8割でしたが、多くても6割行かないくらいの頻度です。

これは、ワクチン接種前に事実として理解すべきだと思います数日ではありますが、ワクチン接種によって普段の生活に支障をきたす可能性があるということです。ですが、その一方で、ほとんどの場合がワクチン接種後数日で全身反応は消失されました。

基本的には安心して摂取して大丈夫ではないかと思いますが、接種するタイミングというのはよく考えて、例えば、翌日以降数日間は在宅勤務に切り替えたり、ワクチン接種後に体調不良で休みをとる可能性を考慮に入れて業務調整ができると良いのではと思います。

局所反応と同じように、全身反応の結果を表でまとめました。論文のほうには吐き気、下痢、筋肉痛、関節痛のデータも記載がありましたが、ここでは割愛しました。ただ、吐き気と下痢は1回目と2回目摂取後で大きく差はありませんでしたが、筋肉痛、関節痛の人数は2回目のワクチン接種後で増えました

ワクチンプラセボ
注射部位の発熱
 16-55歳 1回目
 16-55歳 2回目
 56歳以上 1回目
 56歳以上 2回目

4%
16%
1%
11%

1%
0%
0%
0%
注射部位の疲労
 16-55歳 1回目
 16-55歳 2回目
 56歳以上 1回目
 56歳以上 2回目

47%
59%
34%
51%

33%
23%
23%
17%
注射部位の頭痛
 16-55歳 1回目
 16-55歳 2回目
 56歳以上 1回目
 56歳以上 2回目

42%
52%
25%
39%

14%
24%
18%
14%
注射部位の悪寒
 16-55歳 1回目
 16-55歳 2回目
 56歳以上 1回目
 56歳以上 2回目

14%
35%
6%
23%

6%
4%
3%
3%
解熱剤・鎮痛剤の使用
 16-55歳 1回目
 16-55歳 2回目
 56歳以上 1回目
 56歳以上 2回目

28%
45%
20%
38%

14%
13%
12%
10%

全身反応のポイント

  • 全身性のイベントも、若年層(16~55歳)のほうが多く報告され、1回目よりも2回目のほうが多く報告されました。
  • 最も多いイベントは疲労、頭痛でした。ワクチン接種群で多く見られましたが、プラセボ群でも多く見られました。
  • これに伴い解熱剤や鎮痛剤の使用がワクチン接種群で多く見られました。
  • ワクチン接種群、プラセボ群それぞれ、40℃を越える発熱の報告が2人ありました。
  • 発熱や悪寒などの全身性のイベントは1~2日以内に観察され、その後まもなく消失しました。

ファイザー社ワクチン接種後の有害事象について

安全性のデータの最後は有害事象になりますが、有害事象というのは、因果関係に関わらず、ワクチンまたはプラセボを投与した後に起こる、全ての有害な出来事をさします。極端なことを言えば、ワクチン接種後に事故でケガをした場合でも有害事象になってしまいます。ですので、有害事象については、結果が独り歩きしないように注意してください。

有害事象はワクチンで27%、プラセボで12%認められました。さらに、その中で介入(つまりワクチンまたはプラセボの投与)と関連が認められたものは、それぞれ21%と5%でした。27%の中の21%、つまり、約5%の人はワクチンによって有害事象が発生しているということになります。

ワクチン接種群のうち64人(0.3%)、およびプラセボ群で6人(0.1%未満)の人でリンパ節の腫れが認められました。その一方で、有害事象による試験の中断もありませんでした。重篤な有害事象は下記の表にまとめました。重篤な有害事象はいずれも死亡ですが、ワクチンやプラセボとの因果関係はないということで、ワクチン接種による重篤な有害事象はほとんどないと考えられます

ワクチン(死亡2名)プラセボ(死亡4名)
動脈硬化1名
心停止1名
※ワクチンとの因果関係は無し
原因不明2名
出血性脳卒中1名
心筋梗塞1名
※プラセボ投与との因果関係は無し

ファイザー社ワクチンの有効性(1回目50%、2回目95%)

最後になりますが、ここからは有効性についても少しまとめます。といっても、有効性は95%ほどと言うことは割とニュースで取り上げられているので、それ以外のポイントを紹介します。

臨床試験では、2回目の接種までの間隔を21日つまり3週間に設定しています。そのため、1回接種の有効性を示した結果は、2回目の接種を行う前までの最初の21日間のデータとなります。上の図の左側になります。

1回接種の効果については、2つポイントがあり、第一に12日以降にプラセボ群と差が出始めています。つまり、ワクチンの効果が出てくるのはだいたい12日以降と考えられます。第二に最初の21日間でのCOVID-19発生率を比較すると、1回の接種でのその有効性は52%(ワクチンで39症例、プラセボで82症例)でした

全体の有効性は、94.6%(ワクチンで9症例、プラセボで169症例)ということですが、遺伝的要因や持病など様々なサブグループに分けて解析を行った場合でも一貫して効果が認められるようです。(補足:この症例数のカウントは2回目の接種を行った7日つまり28日以降の新規発症を比較しています。)

また、重症化予防という点も強調されることが多いですが、1回接種をした後にCOVID-19に感染したプラセボ82例、ワクチン39例のうち重症化した数はそれぞれ10例と1例で、重症化の予防という点では、1回接種でも約80%の有効性があると言えます。

有効性のポイント

  • 上の図がワクチン接種試験のメインの結果を示してあります。
  • COVID-19感染者数はワクチン接種群で9例、プラセボ接種群で169例認められ、ワクチンの有効性は94.6%でした。
  • 効果は、年齢、性別、人種、肥満、持病の有無などの層別解析でもほとんど同じでした。
  • 1回目のワクチン接種後の有効性は52%で、12日以降に効果が出始めした。

まとめ

ここまで読んで下さりありがとうございました。科学論文であっても、著者の解釈はどうしても含まれますし、ブログは尚更ですが、この記事ではできるだけ、客観的な情報をまとめました。

今回の報告とは直接関係がありませんが、mRNAワクチンとうことで、遺伝情報が書き換えられるという心配をされている方も多いようですが、mRNAワクチンが核に取り込まれることはなく、私たちの遺伝情報が書き換えられるということはありません。また、mRNA自体も分解されやすいため、体内に残存するものではありません

ここからは私の考えを書いておきたいと思います。まず、有効性はとても高いのは間違いないです。安全性については、私は他の医薬品やワクチン接種でどの程度の副反応が出るのか間隔がありませんので、正直なところ判断ができません。

重篤な副反応が無かったことを考慮して、ワクチンを接種するのか、COVID-19の感染リスクが高くても、ワクチンを接種しないのか、二つを天秤にかけるということになります。ワクチンを接種しないということは、今のコロナ禍が長引くこと、自分が感染するリスクだけでなく、自分から家族や周囲へ感染させるリスクも同時に上がることまで考えるのが大人だと思います。

一方で妊婦はどうなのか?アドレナリンを常備するほどの重篤なアレルギーを持っている人はどうなのか?そして、今回の試験の対象者から外されている重度の免疫系の疾患を持っている人はどうなのか?といった課題は今後の課題なのかなと思います。(妊婦に関しては接種をしているようですが。)

ワクチン接種ができない人のためにも、接種可能な人はできるだけ多くの人がワクチンを接種して集団免疫を作ってほしいなと思いました(集団免疫に関してはこちらの記事を参照)。

また、これは危惧していることですが、日本人はワクチンに対するネガティブな意識が高いので、臨床研究よりも多く副反応が出る可能性はあると思います。臨床試験に参加している方は、ボランティアでワクチン接種試験に協力している方々なので、摂取に対して前向きな人が多いと思いますので、この差は割と大きいと思います。あくまでも憶測ですが頭に入れておいた方がいいのではないかなと思います。

私が大事だと思ったことは、ワクチン接種後12日目までは効果が無いということ、そして、接種後数日は痛みや倦怠感などの副反応があることを承知しておくことかと思います。ただし、こういった副反応は、基本的には軽微なまま、回復に向かう可能性が高いので、安心して摂取しても良いのではないかと思いますが、是非、上の結果やリンクにある本文を参照の上、考えていただければなと思います。

それでは。

参考文献

Polack FP, Thomas SJ, Kitchin N, et al. Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine. N Engl J Med. 2020;383(27):2603-2615. doi:10.1056/NEJMoa2034577 LINK

食品会社勤務の企業研究員。公衆衛生の講座に在籍する、社会人博士課程の大学院生でもあります。食の機能性研究、腸内細菌の研究に軸を置いています。興味関心は公衆衛生、疫学。統計の専門家に憧れます。興味のある研究について、Twitterやブログで発信しています。