健康,  食事

がんに予防的に働く食生活を心がけよう!

初めまして、こんにちは。この記事に興味を持ってくださり、ありがとうございます。

わたしは食事の研究が専門で、がんは基本的には分かりませんが、がんについて、論文などを調べていたこともあるので、この機会に紹介したいなと思い記事にしました。

まず、大前提の話になりますが、がんはご存じの通り、日本人の死因の第1位ですね。がんを予防することができれば、公衆衛生上の影響もとても大きく、わたしたちにとっても有益だということは言うまでもありません。

で、早速ですが、結論から言ってしまうと、食事とがんは関連があります。ちゃんとしたエビデンスもたくさん報告されています。

がんは様々な生活習慣や遺伝的な要因などの「蓄積」が影響していると思いますが、その中の重要な要因の一つは食事かなと思います。食習慣は文化や地域、生活習慣などによりことなりますが、毎日繰り返されるものなので、影響はとても大きいはずです。

ですが、いきなりネガティブな話しで申し訳ないのですが、誤解が無いように、「食事でがんが治るエビデンスはない!」ということも強調したいと思います。

食事の習慣によって、がんの予防をすることができる、というのと、がんが治るということは、別です。

どうしても、こういった記事を書くと、がんが治る食事を期待してしまう人がいると思いますが、わたしが知る限りでは食事の研究報告されていることは、あくまでも「食事の習慣とがんは関係がある」や「食事の習慣が予防的に働く」ということです。

それでは早速記事のほうに入っていきたいと思います。

がんに予防的にかかわる食生活は?

食事をしている女性のイラスト

はじめに、ざっくりとした話になるのですが、非感染性の死亡のうち、食事が関連するがんが9.8%ということが論文で報告されています。

9.8%は多いんでしょうか?わたしはあまりがんに詳しくないので、どのようなことががんのリスクとして大きいのか分からないので、9.8%という数字は、率直にいうと、思っていたよりも小さいかなと思いました。

ただ、がん自体が日本人の死亡原因の第1位なので、社会全体で考えるととてもインパクトが大きいですよね。この9.8%という数字は

Health effects of dietary risks in 195 countries, 1990–2017: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2017

という論文で報告されているのですが、今回の記事の前半はこの論文から引用させていただきます。それでは、まず最初にどのような食生活ががんに予防的に関連しているのかをグラフで紹介したいと思います。

GBD study group 2017, Lancet,2019より引用(加工)

このグラフは食事によって世界でどれだけ早く亡くなったり、障害によって時間を失ったかを、食事の習慣とその原因となる病気にわけてグラフにしたものです。わたしのブログを読んでくださっている方は、このグラフをご存じの方もいるかもしれません。

少し分かりにくいのですが、この結果を見ると、濃い赤色、すなわち心血管疾患による死亡が大部分を占めています。

これはそもそも、食事が原因で死亡している人の中では、心血管疾患が圧倒的に多いからなのですが、がんに注目すると、食塩の過剰摂取や果物の摂取不足なども、がんのリスク因子となっていることがグラフから分かります。

これは、食塩の過剰摂取や果物の摂取不足などの食生活をしている人ではがんの発症リスクが高いというエビデンスがあるということを意味しています。

今回の記事で紹介した論文以外にも食事ががんの発症リスクに影響しているという論文はいくつかあります。

上のグラフに出ている食事項目の多くはがんの発症に対して予防的な働きがあるというエビデンスになります。ちなみに、この記事では言及しようとは思いませんが、動物試験まで含めると、もっと色々な食品素材でがんとの関連性が報告されていると思います。

治療についてはエビデンスがないので注意です!

集中治療室・ICUのイラスト

この一方で、「がんを食材や食事の習慣で治す」というエビデンスは一つもないと思います。まず研究対象者ががんを発症した後の人となりますので、そもそも研究自体が非常に限定的になります。

もちろん、がんの発症をおさえるような食材や食生活には少なからず、発症した後の重症化をおさえたりする可能性はあると思います。ですが、発症した後に、効果が通常の治療薬と同等以上だったり、それなりに効果があって副作用がすくない、など通常の治療薬の代わりになるような食事は報告がないと思います。

ですが、がん患者が適切な治療にくわえて、食事、睡眠、運動など普段の生活習慣を見直すことは、とても大事なことだと思いますし、運動などのように体に負担がかかるようなことは治療の段階では難しいことがおおいと思いますので、食生活を見直すというのは現実的だと思います。

明らかな治療効果はまでは見込めなくても、がんの悪化を緩めることができるかもしれない!そのくらいの気持ちで考えたらよいと思います。

さいごに

タブレットで説明する人のイラスト(女性)

ここまで記事を読んでくださりありがとうございました。今回の記事をまとめますと、下記のようになります。

〇 全世界で食事が原因で病気になり死亡する人数のうち、がんは9.8%です。
〇 中でも食塩の過剰摂取、フルーツや食物繊維の不足などがががんに予防的に働きます。
〇 一方で、食生活ががんと治療的に関連しているというエビデンスはないと思います。

がんについてはまだまだ勉強しなければいけないことが多いですが、それでも食事が関連しているということは良く分かりました。また勉強をして情報を更新できたらいいなと思いますので、良かったらまた読んでください。

食品会社勤務の企業研究員。公衆衛生の講座に在籍する、社会人博士課程の大学院生でもあります。食の機能性研究、腸内細菌の研究に軸を置いています。興味関心は公衆衛生、疫学。統計の専門家に憧れます。興味のある研究について、Twitterやブログで発信しています。

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